ビリー・ジョエルにポール・マッカートニー…大物アーティストを支えるバックアップ・ミュージシャンとは
大物ミュージシャンを支えるバックアップ・ミュージシャンに焦点を当てたドキュメンタリー映画『ハイヤード・ガン(原題) / Hired Gun』について、歌手ビリー・ジョエルのバンドのドラマーを長年務めたリバティ・デヴィートが、6月20日(現地時間)ニューヨークのギブソン・ブランド・ショールームで行われた試写後のQ&Aで語った。
本作は、アメリカの大物アーティストやバンドのレコーディングやツアーを支えるバックアップ・ミュージシャンにスポットライトを当て、彼らの証言を元に構成されたドキュメンタリー作品。アメリカを代表する一流ミュージシャンである、リバティ・デヴィート(ドラマー)、ケニー・アロノフ(ドラマー)、ジェイソン・フック(ギタリスト)、エリック・シンガー(ドラマー)、スティーヴ・ルカサー(ギタリスト)などが出演し、フラン・ストラインが監督を務めた。
リバティがビリーと共に手掛けた最初のアルバムは「ニューヨーク物語」で、「ニューヨークの想い」「マイアミ2017」などが収録され、最初に5万の売り上げがあったものの、全く評価されていなかったという。しかしアルバム「ストレンジャー」のリリース後、状況は変わった。当時の様子をリバティは「僕らはワシントンDCでライブを行い、演奏後に裏口からビリーと僕らバンドメンバーが出ようとしたら、急に女の子たちがジャンプしてビリーに覆いかぶさってきたんだ。そのとき、僕は目の前に(ヒットの)波が来たと思ったよ。僕らは成功をお金では判断せず、どれだけ女性に愛されるかで判断していたからね」と笑顔で振り返り、ビリーとのツアーで最も印象に残っている出来事だと話した。
ビリー以外にも「ポール・マッカートニー、ミートローフ、カーリー・サイモン、ジョン・ハイアット、フィービ・スノウ、それにボーイバンドのナチュラルとも演奏したことがあるよ」というリバティ。長年、音楽業界で活躍してきて、自分をバックアップ・ミュージシャンだと意識していたのかと聞かれると「これまで自分のことをそう思ったことはないね。ビリーのバンドメンバーのラッセル・ジェイバース、ダグ・ステッグマイヤーが、アルバム『ザ・ブリッジ』のリリース後にバンドを離れたが、僕はしばらくビリーとレコーディングし、その後のアルバム『ストーム・フロント』と『リヴァー・オブ・ドリームス』の一部でも関わっていた。決して僕は、バックアップ・ミュージシャンというだけではなかったと思っているよ」と明かした。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)