鬼才ポン・ジュノ、ブッサカワイイ巨大生物“オクジャ”をこうして生み出した!
映画『グエムル -漢江の怪物-』『スノーピアサー』などを手掛けた韓国の鬼才ポン・ジュノ監督の最新作は、なんともブサカワイイ巨大生物オクジャとその飼い主である少女ミジャが繰り広げるアドベンチャー映画『オクジャ/okja』だ。ジュノ監督と少女ミジャを演じた子役のアン・ソヒョンがそろって来日し、本作に欠かせない存在である“オクジャ”について語った。
Netflixオリジナル映画である本作は、韓国の山奥で暮らす少女ミジャが、多国籍企業に追われることになる親友の巨大動物“オクジャ”を守るために、冒険にのりだすさまを描いたアクションアドベンチャーだ。ティルダ・スウィントン、ジェイク・ギレンホール、ポール・ダノ、リリー・コリンズととにかく豪華なハリウッドスターの競演こそあれど、何より心に残るのは、ジュノ監督自身が「この映画はミジャとオクジャの心のふれあい、二人の愛が映画の中心となっています」と語るように、ミジャとオクジャの心温まる交流だ。
それゆえにジュノ監督が頭を悩ませたのは、実写のミジャに対し、CGのオクジャがうまく溶け込めるか、ということだったそう。「2人が一緒にいて違和感のない状態をつくりだせなければ、この映画は成立しないわけです。とくに物語の後半で、オクジャが苦難の道を歩まざるを得なくなったとき、観客のみなさんにも胸が痛むのを感じてほしかったからです。例えば、『CGのキャラクターが随分苦労しているな』などと、冷ややかにそのシーンを受け止められるだけだったらどうしようと不安でした」。
しかしそんな不安は、『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』でアカデミー賞視覚効果賞を受賞したエリック・デ・ボーアが、最新のVFX技術でオクジャを表現してくれたおかげで解消されたという。もちろん、もう一人の立役者であるミジャ役アンの実力も大きく貢献している。撮影現場にオクジャそのものはいなかったわけだが、ディテールにこだわったオクジャの部位はあったという(!)。「オクジャの顔があったり、わき腹があったり、お尻があったり。それを相手に演じていたんですけど、(部位だけでも)きちんとオクジャの形をしていたので、演技するのがむずかしいということはなかったです」とちょっぴりシュールな撮影でも見事にやってのけたアン。
オクジャとの出会いを振り返り、「初めて観たときは、どこかで見たような顔なんだけど、思い出せない、独特な魅力があるなと思いました」とその第一印象をアンが話せば、ジュノ監督は「このデザインにたどり着くまで、長い過程がありました。途中で脱落したものもいっぱいあります。ブタ、ゾウ、カバ、サイ、こういったものがミックスされているんです。なかでもとくに参考にしたのは、フロリダにいるマナティーという動物で、マナティーは本当に心優しい顔をしているんです。でも、動作や行動については、犬からヒントを得ているものが多いです。人間の心をときほぐすのには、犬が最高だと思っています。僕は犬を一匹飼っていますから」とちゃめっ気たっぷりにオクジャのデザインについて明かした。アンはオクジャについて説明される際にもらった模型を2つ、今でも部屋に飾っているそうで、取材中もその場にあったオクジャのぬいぐるみをかわいがっているのが印象的だった。(編集部・石神恵美子)
『オクジャ/okja』はNetflixで配信中