東出昌大、憧れの『息もできない』ヤン・イクチュンと初対面!
俳優の東出昌大が、7日、新宿ピカデリーで行われた韓国映画『息もできない』の特別上映会に同作のファン代表として来場し、監督・主演を務めたヤン・イクチュンと初対面を果たした。
ヤンが2008年に初メガホンを取り製作・脚本・編集・主演を兼任した本作は、父親に憎しみを抱く取り立て屋の男サンフン(ヤン)と、父親や暴力的な弟との関係に悩む女子高生ヨニ(キム・コッピ)という、社会の底辺に生きる孤独な2人の交流をパワフルに描いた衝撃作。
本作の上映終了後、東出とともにステージに立ったヤンは「日本で公開されたのは2010年なので、この映画で皆さんにお会いできるのは久しぶりです。2007年に撮影したので、10歳年をとりました」とあいさつすると、「スミマセン」と日本語であいさつ。劇中で演じた暴力的な男とは対照的な、人懐っこい笑顔で観客を魅了した。
本作が「一番好きな韓国映画」だという東出は、「今日はファン代表として、ディープな話を聞きたいと思います」と宣言。「この脚本はどうやって書いたんですか?」と質問すると、ヤンは「真っ先に書いたのはオープニングのシーンで、福岡県の人工的な湖があるところで書いたんです。その時は友人の短編映画に出演するために福岡にいたんですが、時間が空いたので街を歩いていたんです。その時に湖で鶴が飛んでいて、とても平和的な光景で。にもかかわらず、なぜあんな暴力的なシーンを書いたのか、自分でもわからないですね」と述懐。
一方、ヤンも東出の俳優デビュー作『桐島、部活やめるってよ』(2012)を観たそうで、「やはり俳優にとっては初期の作品というのは大事なもの。この映画での東出さんは無表情ですが、その中に重みを感じさせる演技をされていました。僕もあと10センチ身長が高かったら東出さんみたいにカッコよく芝居できたのにな」とジョークを交えながら称賛。
そんな共演の可能性について「実現できたらうれしいですね」と語る二人。「どんな役でもできたらうれしい」と語る東出に対して、ヤンは「もし実現するなら、『ロード・オブ・ザ・リング』をやりたい。CGで東出さんを(小人の)ホビットにして、わたしはガンダルフをやりたい」と語り、会場を沸かせた。
そんな大盛り上がりのトークもタイムアップ。東出も「もう終わり!?」と驚くほどあっという間だった様子。「ヤン監督は韓国でのご活躍はもちろん、『かぞくのくに』などの日本映画にも出られていて、いわば日本と韓国の橋渡しのような存在。韓国映画や台湾映画には本当にすばらしい作品が多い。だから国境や政治的なこと、イデオロギーなどに固執するのではなくて、お互い芸術分野で手を取り合えたらと。僕は一方的に(ヤンを)尊敬していますけど、こちら側も尊敬されるようなクリエーターになれればと思っています」と締めくくった。(取材・文:壬生智裕)