冤罪で21年間の地獄…話題の実話映画化
今年のサンダンス映画祭で観客賞を受賞した話題作『クラウン・ハイツ(原題) / Crown Heights』について、キャストのキース・スタンフィールドとナムディ・アサマア、実在のモデルであるコリン・ワーナーさんとカール・キングさんが8月16日(現地時間)、ニューヨークのAOL開催イベントで語った。
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1980年4月にブルックリンのクラウン・ハイツで起きた16歳の少年マリオ・ハミルトンの銃殺事件において、冤罪(えんざい)で刑務所に送られたコリン・ワーナーさん(キース)と、コリンさんの無実を証明するため情報収集し裁判で戦う友人カール・キングさん(ナムディ)の関係を描いた本作。監督は映画『ザ・ヒップ・ホップ・プロジェクト(原題) / The Hip Hop Project』のマット・ラスキンが務めた。
自身の半生の映画化について、コリンさんは「僕の人生の10年が1日、20年が2日のように伝えられているけれど、僕は21年間地獄を見てきたんだ。(今作で)誰もが同じ心境になる必要はないけれど、ぜひ皆に観てほしいね。僕は自分が犯していない罪で刑務所に行き、何かを学んできた。それが僕の人生の一部なんだ。全ての人はさまざまな圧力を受けながら生きていて、誰かから圧力をかけられると、人はそれに屈しないよう抵抗する。僕が体験してきた全てが真実で、僕は(その21年間で)苦難を乗り越える能力を与えられて前進したんだ」と語った。
長年コリンさんのために戦ったカールさんは「真の友情は良い時だけでなく、悪い時にもそばに居てあげられることだと思うんだ。コリンの当時の状況は理解していたし、納得のいかない判決に諦められなかったけれど、当時、弱冠17歳の僕には法のシステムは大きすぎて……。それでも、刑務所にいるコリンを訪れ、どんな形であろうとサポートすることが当時の彼には良かったんだ」と振り返った。当初、コリンさんがすぐに冤罪で釈放されると思っていたが、2、3年経っても状況が変化せず、カールさん自身も法的手段を学んでいったそうだ。
ラスキン監督に勧められ、コリンさんとカールさんに会ったというナムディは「彼らには信じられない経歴があり、コリンとカールの両サイドから見る必要があったから彼らに会いに行ったんだ。今もクラウン・ハイツに住むカールに僕がロサンゼルスから会いに行き、そこで2、3週間彼と過ごしたんだよ」と話すと、続けてキースも「コリンはとても面白い人で、素晴らしいユーモアのセンスを持っているんだ。彼が心を開いて、僕にこの役を委ねてくれたことはとても名誉なことだよ」とコリンさんに感謝の意を示した。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)