『新感染』あのセリフはアドリブだった!来日したヨン・サンホ監督が明かす
韓国のノンストップサバイバルアクション『新感染 ファイナル・エクスプレス』(全国公開中)でメガホンを取ったヨン・サンホ監督が来日し、俳優のアドリブシーンについて明かした。(※以下、ネタバレあり)
本作は高速鉄道の乗客が謎のウイルスに感染して次々と狂暴化していくなかで、幼い娘スアンを連れたソグ(コン・ユ)や、屈強な中年男性・サンファ(マ・ドンソク)と妊娠中の妻・ソンギョン(チョン・ユミ)ら乗客たちが決死のサバイバルを繰り広げるさまを描いた作品。
これまでアニメーション界で活躍していたヨン・サンホ監督にとって、本作は実写映画監督デビュー作となる。俳優陣による予想外のアドリブは実写ならではの楽しみだが、本作の俳優陣も多数のアドリブを繰り広げたそうで、中でもマ・ドンソクがたくさんのアドリブを披露したという。
全編を通してハラハラしっぱなしの展開が続く中で、マ・ドンソクのユーモアは作品に程よい緩急を利かせる重要な役割を担っている。その中でも印象的なあるセリフは、なんと彼のアドリブから生まれた。「マ・ドンソクさんとチョン・ユミさんが車両に乗っていて、子役のスアンがチョン・ユミさんのおなかを触る時のシーンで、赤ん坊が動くの感じたスアンに、マ・ドンソクさんが『俺が作ったんだ』というセリフです」。
また、映画の主人公といえるソグと、同じ列車に乗車していたバス会社の常務ヨンソク(キム・ウィソン)について、ヨン・サンホ監督はこう語る。「最終的に二人はすごく激しい戦いを見せますが、それは私たち人間の心を表しているのではないかと思います。全ての人の内面にはソグの面とヨンソクの面が絶対にあると思うんですね。二人が激しく戦いあっているのが、人の内面ではないかなと思います」。
物語の舞台に列車を選んだのも、そんな人間の人生についての寓話を表現するためだという。「人生も終着点は決まっていますよね。たどり着く先は分かっていますが、そこが良いところなのか良くないところなのかは分からない。それもまた一つの不安であり、人間が抱えている恐怖だと思います」。人生という列車の中で危機的な状況に置かれたとき、果たして自分はソグとヨンソクのどちらになってしまうのか。ある意味で一人の人物の表と裏といえるような二人の戦いを観た後、思わず自問自答してしまうはずだ。(編集部・吉田唯)