南米から初!アルゼンチン人俳優リカルド・ダリンが生涯功労賞を受賞
アカデミー賞外国語映画賞受賞作『瞳の奥の秘密』(2009)などで知られるアルゼンチン人俳優リカルド・ダリンが、スペインで開催中の第65回サンセバスチャン国際映画祭で、生涯功労賞にあたるドノスティア・アワードを受賞した。1986年に創設された同賞で、南米大陸出身者の受賞者は初めてとなる。
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共にダリンの新作『ザ・サミット(英題) / The Summit』(2017)で共演している同郷のドロレス・フォンシとスペイン人女優エレナ・アナヤの美女2人から記念のトロフィーを受け取ったダリンは「(2012年に)ダスティン・ホフマンも受け取った賞を、わたしも頂けるとは光栄です」と挨拶。続けて「こうした賞を受け取る時にいつもわたしは、一緒に(人生の)旅をしてきた同士たちの事を考えます。彼らがいなければわたしは何も成し得なかった。この賞は彼らと共有するだけではなく、アルゼンチンと全ての南米の仲間たちと分かち合いたい」と感謝の言葉を述べた。
ダリンは8歳からエンタテインメントの世界に身を置き、アルゼンチンで数多くのテレビドラマや映画で活躍。そして『瞳の奥の秘密』での名演で同国の映画界を盛り立ててきた一人だ。同作はニコール・キッドマン&ジュリア・ロバーツ共演『シークレット・アイズ』(2015)のタイトルでハリウッドリメイクされただけでなく、自身もペドロ・アルモドバルがプロデュースした『人生スイッチ』(スペイン・アルゼンチン合作)に出演するなど活躍の場が広げてきた。
日本でもスマッシュヒットを飛ばした『しあわせな人生の選択』(2015)では、共演のハビエル・カマラと共に、サンセバスチャン国際映画祭でシルバー・シェル賞(最優秀男優賞)を受賞。さらに同作は、スペインのアカデミー賞ことゴヤ賞でも主演男優賞・作品賞をはじめ5部門を獲得した。
そして遂に、新作『ザ・サミット(英題) / The Summit』(サンティアゴ・ミトレ監督作)ではアルゼンチン大統領を演じるまでに。チリで開催される南米大統領サミットに参加するが、家族でトラブルが発生し、公私ともに暗躍することになるサスペンス劇に挑んでいる。ただ劇中でのダンディな姿と、この日のリックスにギャップがあったことから、記者から「あのー、そのヘアスタイルはどうしたのでしょう?」と質問が飛んだ。
ダリンは「数週間放っておくと、自分でコントロール出来なるくらいボサボサになるんだよ」と頭を掻きながら苦笑い。タネを明かせばし新作の役作りだそうで、映画『別離』で知られるイランのアスガー・ファルハディ監督・脚本の新作『トドス・ロ・サベン(原題) / Todos lo saben』でアルゼンチンに暮らす地元の普通の男を演じており、ハビエル・バルデムとペネロペ・クルス夫妻と共演している。
なお、同映画祭では今年、イタリア人女優モニカ・ベルッチとベルギーのアニエス・ヴァルダ監督にも同賞が贈られた。(取材・文:中山治美)
第65回サンセバスチャン国際映画祭は9月30日まで開催