五社英雄監督に託された1枚の写真…夏目雅子さんの美しさを振り返る
14日、京都市内で開催中の京都国際映画祭2017で上映された映画『鬼龍院花子の生涯』(1982)の上映とトークショーが行われ、五社英雄監督の娘で五社プロダクション代表取締役の五社巴と時代劇研究家の春日太一、映画プロデューサーの奥山和由、五社作品の大ファンとしても知られる友近が出席、同作に出演した伝説の女優・夏目雅子さんの、ある写真について語り合う一幕があった。
『鬼龍院花子の生涯』は、大正から昭和へかけての激動の時代を生きた土佐の侠客・鬼龍院政五郎と彼を取り巻く女性たちのドラマチックな生きざまを描いた五社英雄監督作品。映画祭の特別上映企画として実施された「五社英雄特集」内で上映された。
トークの中で、五社監督が晩年にメガホンを取った『226』『陽炎』『女殺油地獄』をプロデュースした奥山はある日、五社監督から「自宅に来てほしい」と呼び出された逸話を披露。「どうしても見せたいものがある」と五社監督が語り、取り出した1枚の写真には、長襦袢を羽織り手のひらに乗せた紙切れに息を吹きかける夏目さんの姿が収められていたという。さらに奥山は「五社監督が言うには、夏目さんが亡くなる3週間くらい前に撮影されたもので、彼女の手のひらにある紙切れは、病院のカルテをちぎったものだったそうです」と続け、隣にいた友近も驚きの表情で話に聞き入っていた。
奥山いわくその写真は「思わずゾクっとする美しさ」だったとのこと。夏目さんが病室で撮影した写真を、彼女の死後に遺族が五社監督へ託したそうで、実際に見たことがあるという巴も「父はしばらくその写真を家に飾っていましたね」と語った。
奥山が「あの写真はどこへ行っちゃったんですかね?」と尋ねると、巴は「父から預かっていないので……」と語り、写真の所在は不明であると語っていた。(取材・文:スズキヒロシ)
京都国際映画祭2017は10月15日まで京都市内各所で開催中