『猿の惑星』アンディ・サーキス、初監督作は『ブリジット・ジョーンズ』製作者の両親を描いた衝撃の実話
『猿の惑星』シリーズのアンディ・サーキスが初監督した映画『ブリーズ(原題) / Breathe』の特別試写が、10月10日(現地時間)ニューヨークのAMCローズ・リンカーン・スクエア13で行われ、試写後のQ&Aでサーキス監督とプロデューサーのジョナサン・カヴェンディッシュが語った。
【写真】『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』アンディ・サーキス演じるシーザー
本作は、『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズで知られるジョナサンが製作を務め、自身の両親の物語を映画化したもの。イギリス人のロビン(アンドリュー・ガーフィールド)は、クリケットの試合を観戦していたダイアナ(クレア・フォイ)と恋に落ち、アフリカで結婚する。だが、翌年、ロビンはポリオを患い28歳で首から下が麻痺状態に。人工呼吸器の助けを借りて息をする状態にまで追い込まれた彼をダイアナは支えるが……。
映画化の経緯についてジョナサンは「僕もアンディも新たな企画を探していた時に、ふと自分の両親は際立った出来事が多い人生だったと気付いたんだ。同じ頃、脚本家のウィリアム・ニコルソンが執筆した映画『永遠(とわ)の愛に生きて』を観て、感情をうまく表現できない主人公が、その思いを隠しながらコミカルに表現しようとする姿に、このトーンで僕の映画も描いたら良いなと感じたんだ。そこで僕はウィリアムをランチに誘い、彼に『僕の両親の話を脚本にしてほしい』と伝えたんだよ」と話す。約7~8年かけて脚本を完成させたそうだ。
医療関係に携わる家庭で育ったというサーキス監督は「父は医者で、母は体に障害のある子供たちを教育する仕事をしていたのもあって、身体障害者の人たちが身近にいる環境で僕は育ったんだ。今日の医学は当時と比べて素晴らしい進化を遂げているけれど、身体障害者への平等な対応に関しては、例えば仕事場など、まだまだ改善の余地がある状態だよね」と話し、続けて「カヴェンディッシュ夫妻は、まだ身体障害者への対応が不十分だった1960年代に、病院を離れて生活しようとしたんだ。それはまるで異端者のようなことだと思う。でも、彼らが異端者であることが、僕に監督をする気にさせてくれたんだ」と明かした。
今作のモデルとなった両親についてジョナサンは「父がポリオを患ったとき、母はまだ24歳だったんだ。ここ数日間、母と今作の宣伝をしてきたんだけど、彼女は当時を振り返って、『わたしたちは若かったから、このような(全身全霊でサポートする)ことができたのかもしれない』と言っていたよ」と切り出し、「でも、これって結局“愛”につきると思うんだ。父がポリオを患って最初の2年間は自殺願望があり、何度も人工呼吸器を止めるように周りの人に言っていたらしいんだ。母はまわりくどい言い方をしながら説得していたって言うんだけど、きっと(生まれたばかりの)僕を利用して、勇気を奮い立たせていたんだと思うんだ」と語った。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)