Netflixが高値で買い付け!白人兵士と黒人兵士の友情物語
Netflixオリジナル作品『マッドバウンド 哀しき友情』(11月17日よりNetflixで配信)が第55回ニューヨーク映画祭で上映され、ディー・リース監督、ギャレット・ヘドランド、キャリー・マリガン、ジェイソン・ミッチェル、メアリー・J・ブライジが、10月12日(現地時間)ニューヨークのリンカーン・センターにて行われたウォルターリード・シアター開催の記者会見で語った。
【写真】映画『トロン・レガシー』などのギャレット・ヘドランド
本作は、第2次世界大戦後にミシシッピ州の田舎町に帰ってきた白人兵士ジェイミー・マカラン(ギャレット)と黒人兵士ロンセル・ジャクソン(ジェイソン)の友情を描いた壮大なドラマ。ジェイミーは兄夫婦のもとで暮らすが戦争のトラウマに悩まされ、ロンセルはこの土地にまん延する人種差別に直面していく。テレビ映画『BESSIE/ブルースの女王』のリース監督がメガホンを取った。サンダンス映画祭でNetflixが1,250万ドル(約13億7,500万円)という高値で買い付けたことも話題(1ドル110円計算)。
今作に携わった経緯をリース監督は「2015年に製作者カシアン・エルウィズからヴァージル・ウィリアムズの初稿を渡されたの。(映画『フェンス』の製作者)チャールズ・D・キングが今作に関わっていると知り、すぐにヒラリー・ジョーダンの原作も読んでみたわ。その原作で最も印象深かったのは、キャラクターの内的独白だったの。内的独白は面と向かって他の人に話すよりも面白い時があるわ。数人のキャラクターの内的独白によって、キャラクターの異なった観点が示されているところに興味を持ったのよ」と説明した。
本作の脚本について、リース監督作品の大ファンであるメアリーは「パワフルな内容で、エンディングもポジティブで良かったわ。わたしが演じたフローレンス(ロンセルの母親)は家族を愛する女性で、ある意味、わたしの家族や多くの女性にも当てはまるキャラクターだと思うの。それもあって脚本や映画自体に興味が持てたわ」と話し、ギャレットは「脚本は(戦争のトラウマによる)苦痛、(人種差別による)残酷さ、(物語構成による)詩的な部分が描かれていて、今作に関わりたいと思った」と語った。
一方、数作連続で時代物の作品に出演していたため、今作への出演を当初ためらったというキャリー。「何か現代作品に出演したいと思っていたから、また時代物に関わるということを拒否していたの。でもリース監督の映画『アリーケの詩(うた)』を観たら完璧で……。彼女が手掛ける映画ならば、どんな作品でも出演したいと思ったのよ」と明かした。
撮影現場についてジェイソンは「劇中は、(黒人と白人の対立で)お互いが憎しみ合っている設定だけど、リース監督は僕たちが演じやすい環境を作ってくれたよ。僕が最も苦労して演じたシーンは、(戦争からの帰国後に)父親と再会するシーンなんだけど、僕が泣き崩れる演技をすると、父親役のロブ・モーガンがしっかりと僕を支えるように抱擁してくれたんだ。(家族愛や友情など)強固なものが生まれる瞬間を観て、何か感じてほしいね」と語った。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)