蒼井優&鈴木杏、『花とアリス』撮影中の“砂から死体”事件
第30回東京国際映画祭
女優の蒼井優と鈴木杏が30日、TOHOシネマズ六本木ヒルズで開催中の第30回東京国際映画祭「Japan Now」部門作品『花とアリス』上映会に岩井俊二監督とともに来場、ファン待望のツーショットに会場は大いに沸いた。また蒼井らは当時の撮影中の浜辺で起きた、ある死体の発見エピソードも岩井監督と共に振り返った。
日本映画界のクリエイターをインスパイアし、スクリーンで輝く女優たちの作品を集めた本特集。この日は2004年に公開された岩井監督の人気作『花とアリス』を上映するとあって、海外からの報道陣も多数集まった。ひとあし先にステージに登壇した蒼井は、超満員の会場を見渡し「すごいたくさんの方が来てくださって……」と感激した表情。続けて「わたしのミューズです」という紹介とともに、鈴木を迎え入れ、ファン待望のツーショットを披露した。
そんな二人を見て、「二人とも立派なミューズとなりました」と笑顔をみせる岩井監督は「天真らんまんな二人で、とにかく現場ではじけまくっていましたね。撮影の合間にもキャッキャと楽しそうにしていて。あれこそ本当に箸が転がってもケラケラという。あの年頃ならではのエネルギッシュな現場で、懐かしいですね」としみじみ。
「高校も一緒だったね。杏が2つ下で、クラスは違ったけど、昼ご飯とかを一緒に食べていたよね」と蒼井が語るほど仲良しな二人。大人になった『花とアリス』について岩井監督は、「時々、花とアリスは何をしているのかなと想像することがありますよ」と言う。すると二人も、「今ごろは適当な人と結婚して、離婚しているかもしれないですね」(蒼井)、「二人ともしあわせな家庭を築けているというのは想像がつかないよね」(鈴木)と現在の『花とアリス』を想像してみせた。
あらためて本作を振り返ってみて、「若いときってこんな鼻声だったんだ」と笑う蒼井は、「亡くなってしまいましたけど、篠田昇さんというカメラマンさんのまなざしがステキだなと。篠田さんに見つめられて、野猿のような少女時代を過ごせたのは、きっと篠田さんが現場でのびのびといさせてくださったからなんだなと。大人になるとわかりますね」とコメント。鈴木も「わたしはもともと岩井さんの映画が好きだったので、今でも岩井さんと映画を作れたんだなと、不思議な感覚に陥ります。若いときだったし、自分でもエアポケットのような、なんとも形容できない感覚になるというか。すごく貴重な時代だったし、いろいろ出た作品の中でも貴重な作品のひとつだと思います」と続けていた。
さらに岩井監督が「浜辺で撮影したときにふたりが砂をほじくり返したら死体が出てきて。人の死体かと思ってパトカーを呼んだら、座礁したイルカの死体だったんですよ」と懐かしそうに付け加えると、蒼井も「あれは岩井さんの指示ですよ」とクスクス笑い。そんな時間もいよいよ終盤となり、最後のコメントを求められた蒼井は「こうして10年以上たってもスクリーンで観たいと思ってもらえるような映画に出られてよかったです。短い時間でしたが、みんなとタイムカプセルを掘り起こしたようでしあわせです。また10年後にお会いできたらうれしいです」と観客に謝辞を述べていた。(取材・文:壬生智裕)
第30回東京国際映画祭は11月3日までTOHOシネマズ 六本木ヒルズほか各会場で開催