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なぜピエロは怖いのか?『IT/イット』監督が語る子供時代との関係

ずいぶんとイケメンじゃないすか? ペイーワイズとアンディ・ムスキエティ監督(右) 左は監督の姉妹でプロデューサーのバルバラ・ムスキエティ
ずいぶんとイケメンじゃないすか? ペイーワイズとアンディ・ムスキエティ監督(右) 左は監督の姉妹でプロデューサーのバルバラ・ムスキエティ - (C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

 田舎町で相次ぐ児童失踪事件の裏に潜む怪異を描き、本国アメリカで社会現象級のヒットとなった映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』を手掛けたアンディ・ムスキエティ監督が、本作を象徴するピエロの恐怖や、傑作と名高い青春映画との共通点について語った。

【画像】出方が怖い!『IT/イット』の殺人ピエロ、ペニーワイズ

 本作は、作家スティーヴン・キングによる名作ホラー小説の映画化。その怪異の中心となるのが、“IT”と子供たちに呼ばれる殺人ピエロ、ペニーワイズだ。本来は子供を楽しませる存在であり、アメリカではよく、パーティーに呼ばれることもあるピエロ。しかし世の中には、「ピエロ恐怖症」(道化恐怖症)という言葉があるほど、強い恐怖を抱く人も多い。

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 なぜピエロは怖いのか? 監督は、それが子供と大人の関係に起因するものだと分析する。「笑ったように作られたメイクといった、ニセモノ感に子供は気付いているのだと思います。本当は大人が楽しんで道化役をやっているわけではないということを見抜いていて、そこから生まれる“大人は信用できない”という思いが恐怖を生んでいるのかもしれません。それと、見た目とふるまいの不一致も原因かもしれないですね。誕生日会なんかに来るピエロの態度なんて、ひどいもんですから(笑)」。

 ペニーワイズは子供の恐怖を糧とするため、少年少女たちが怖いと思うものへと自在に変化する。イタリアの画家モディリアーニの油絵が具現化したような“油絵の女”など、その種類はバラエティーに富んでおり、一瞬たりとも観客を飽きさせない。

 「油絵の女性が恐怖の象徴として登場するのは自分のトラウマを反映させています。自分も小さいころモディリアーニの絵が怖かったんです」と笑う監督は、現在44歳。原作を読んだのは14歳のころで、小説では1950年代だった主人公たちの子供時代を1980年代に変更した理由についても、「この映画では子供時代の終焉を描きたかった。そこで、私自身が劇中の子供たちに共感できるように、自分とリンクする時代設定にしました」と明かす。その言葉の通り、本作はホラーとしてだけではなく、欠点を抱え、家庭でもDVや過干渉などに悩む少年少女たちの自立を描いたジュブナイル映画にもなっており、同じくキング原作の名作として知られる『スタンド・バイ・ミー』を観たような後味を覚える。

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ペニーワイズと対峙する少年少女たち。本作にはさまざまな面で『スタンド・バイ・ミー』との類似性がある。(C) 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

 「子供時代との決別を描くにあたって、メタファーとして大人を悪と描き、子供と対峙させているので、『スタンド・バイ・ミー』とは類似性があると思います」と認めた監督は、続けて「私自身がキングの愛読者でもあり、心から作りたいものを作ったので、優れた原作を反映した、さまざまなトーンが盛り込まれています。多くの要素を2時間強の映画に盛り込むリスクを嫌がる製作陣もいますが、今回は、私の思いもくんでもらえた作品なんです」と自信を見せた。(編集部・入倉功一)

映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』は11月3日より全国公開

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