オスカー候補の作曲家だった!スーパーマンの母親役女優の意外な才能
映画『48時間』『スーパーマン III/電子の要塞』などで注目され、テレビシリーズ「ヤング・スーパーマン」でスーパーマンの母親役を演じた演技派女優アネット・オトゥールが、オフブロードウェイの舞台「ザ・ショウオフ(原題) / The Show-Off」と自身のキャリアについて、10月21日(現地時間)ニューヨークのザ・ペガディロ・シアターでの単独インタビューで語った。
【写真】アカデミー賞歌曲賞にノミネートされた映画『みんなのうた』作品写真
同舞台は、ジョージ・ケリーの戯曲を、ダン・ワッカーマンが演出したリバイバル劇。1920年代のフィラデルフィアを舞台に、フィッシャー家の次女エイミーが、嘘ばかりつく婚約者オーブリーを実家に連れてきたことで、エイミーの両親、姉夫婦、弟までを巻き込む大騒動を巻き起こす様を描く。アネットはエイミーの母親ミセス・フィッシャーを演じた。
本舞台でのミセス・フィッシャーの出番の多さから「俳優としては夢のような役だった」と語るアネット。そんな彼女の神経を逆なでするのが、エイミーの婚約者オーブリーだ。「彼は自慢げにデタラメなことを言い、発言を裏付ける詳細も語れない男なの。けれど、人に何かものを売るようなことが得意で、発明の才のあるフィッシャー家の弟を利用しようとするのよ。つまり、才能がある人が居て、またそれをまとめる人もいる。それは今日も含めて、アメリカの歴史にも反映されていることだと思うわ」とキャラクターを分析。一方、自身の役柄ミセス・フィッシャーについては「彼女はアイルランド系移民の大家族に生まれ、しっかりした真面目な男と結婚して子供3人をもうけただけでなく、ストリート・スマート(教育はないが、実体験でいろいろなことを学んでいる人)な要素も持ち合わせているの」と説明した。
女優になる前にはダンサーとしてキャリアをスタートさせていたアネット。「わたしの母も叔母もダンスの講師をしていて、子供の頃のわたしはテキサス州ヒューストンにあるダンス学校で育ったの。将来もミュージカル女優グウェン・ヴァードンのようになりたいと思っていて、彼女を見本にしていたわ。その後、家族でロサンゼルスに移ってから、ダンサーとしてテレビ番組『ダニー・ケイ・ショー』に出演したこともあったの。その頃からエージェントの勧めで、ダンスだけでなく俳優学校にも通い始めたのだけど、すぐに俳優業に恋してしまったわ。まだ17歳だったけれど、ダンサーのキャリアの短さを考えると、俳優業の方が理にかなっていることが理解できていたのね」と女優業に転向した過程を明かした。
さらに、音楽の才能もある彼女。映画『みんなのうた』でアカデミー賞歌曲賞にノミネートされた楽曲「A Kiss at the End of the Rainbow」を、作曲家の夫マイケル・マッキーンと共同執筆したことがある。「『ヤング・スーパーマン』の第1シーズンの第2話を撮り終えて、バンクーバーからニューヨークに戻ってきて、しばらくしたら再撮影することが決まったの。同時多発テロの影響で飛行機で戻れなかったから、レンタカーでバンクーバーに戻ったのだけど、その長い移動時間にマイケルと共に楽曲『Potato’s In The Paddy Wagon』を書いたのよ。それを『みんなのうた』の監督クリストファー・ゲストが気に入ってくれてね。彼から『タイトルにキスが付く他の楽曲も書いてくれ』と頼まれたから、夫と『A Kiss At The End Of The Rainbow』を2時間で書き上げたのよ」と思わぬ出来事が名曲を生んだエピソードを披露した。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)