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20世紀最大の悲劇…『シンドラーのリスト』で描かれた収容所の生存者が語る真実とは

20世紀最大の悲劇を現代の人々に語り継いでいく、ホロコーストの生存者エド・モスバーグ
20世紀最大の悲劇を現代の人々に語り継いでいく、ホロコーストの生存者エド・モスバーグ

 スタンリー・キューブリックの映画『アイズ ワイド シャット』で編集アシスタントを務めたクレア・ファーガソンが監督を務めた新作『デスティネーション・アンノウン(原題)/ Destination Unknown』について、ホロコーストの生存者エド・モスバーグさんが、10月31日(現地時間)ニューヨークのSVAシアターで開催された特別試写後のQ&Aで語った。

【写真】『シンドラーのリスト』のリーアム・ニーソン

 本作は、第2次世界大戦中にポーランドのクラクフ・プワシュフ強制収容所(映画『シンドラーのリスト』の舞台)で起きた事実を、12人のホロコースト生存者へのインタビューを通じて描いたドキュメンタリー。20世紀最大の悲劇から家族を失いながらも生き延びた彼らが、決して癒えることのない心の傷を生き証人として、現代の人々に語り継いでいく。

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 今作を鑑賞するのは毎回困難だとしながらも、人々にホロコーストを伝えていかなければいけないと語るエドさん。「スティーヴン・スピルバーグ監督の『シンドラーのリスト』がなければ、ホロコーストは現代の人々の間で忘れ去られていたかもしれない。そして、今作に出てきた12人のホロコースト生存者のうちの1人、ミーテク・ペンパー(著書『救出への道 シンドラーのリスト・真実の歴史』を執筆)が居なければ、『シンドラーのリスト』は生まれなかったかもしれないんだ(※『シンドラーのリスト』はトーマス・キニーリーの『シンドラーの箱船』が基だが、ミーテクの著書も参考にしていたため)。ミーテクは、同収容所の所長アーモン・ゲートのもとで働かされていたしね」と当時を振り返った。

 同収容所で最も恐ろしかった体験については、「1943年3月13日に収容所の所長アーモンの下、第4回移送作戦(同収容所のゲットーの解体)が行われた際、彼は子供を守ろうとした母親の手や腿を撃ったり、壁際に隠れようとした子供の頭を撃ち抜いたりしたんだ。母親が乳児をナップサックに隠しながら移動していたら、そのナップサックごと撃ち抜かれたりもしていたよ。また、杖をついていて労働できない囚人は広場に集められ、杖を地面に置いて、這って他の場所に移動するようにナチスの親衛隊に指示されたんだ。そして、まるでゲームのようにその囚人たちは撃ち殺されていったんだ。こんなことは決して忘れることはできない……」と鋭い眼光で前を見つめながら語った。

 アーモンの最後については、「彼は裁判で死刑の判決が下され、絞首刑で亡くなったけれど、彼が刑務所に入っているときに、僕は(記録に残すため)彼の写真を撮りに行ったんだ。その時の彼には2人のガードが付いていたんだけど、それでも僕は、彼のことがまだ怖かったのを今でも覚えているよ」と重みのある言葉で明かした。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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