伝説的女性ドライバー、NASCARにダメ出し!「もっと純粋であるべき」
インディ500で4位に入賞し、インディ・ジャパン300ではインディ史上初の女性ドライバーとして優勝を果たしたダニカ・パトリックが、自身を題材にしたドキュメンタリー映画『ダニカ(原題) / Danica』について、11月2日(現地時間)ニューヨークのAOL開催イベントでハナ・ストーム監督と共に語った。
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10歳でカートレースにデビューし、2003年のトヨタ・アトランティック・シリーズへの参戦を経て、2005年インディカー・シリーズにデビュー。目を見張る活躍をしてきたダニカ。本作では、彼女が不振に陥った後、彼女を支えるエンジニア、家族、ボーイフレンドとの関係を通して、再起していくさまが描かれる。CBSニュースやESPNのスポーツ番組の司会者として活躍していたストーム監督がメガホンを取った。
最近では元NBAのシャキール・オニールの作品を製作したというストーム監督。自身の撮影方法について、「わたしはある程度ビジョンを持ってはいるものの、あらかじめ計画立てて撮影をしないの。それは、『あなた(題材の人物)は本当はどんな人なのか?』を描いているからなのよ」と明かす。ダニカには、CBSニュースやESPNのスポーツニュースを通して、何度もインタビュー経験があったそうだが、「映画の冒頭で、ダニカは『なぜ人々はわたしのことを気にするのか? それは、おそらくわたしのことを(レーシングにおいての)信ぴょう性のある人物だと考えているからだと思う』と語っているの。彼女は自分のことをしっかり把握し、明確に発言できていて、わたしにとっても製作が楽しい作品となったわ」と彼女との相性の良さを物語る笑顔を見せる。
実際のダニカについては、「ダニカがクールなのは、彼女が(レーシング以外の)他のことに挑戦することを恐れていないところね。わたしたち(スポーツ)の世界では、ダニカならばレースカー・ドライバー、という一つのスポーツしかできないというレッテルを貼りがちだけれど、彼女は料理とフィットネスを合わせた本を執筆したり、衣服をデザインしたり、ワイン事業に携わったりしているの。それはかなり勇気のいることなのよ。わたし達はよく小さな世界にしか存在していないと感じ、何か新しいことをやりたくても、怖くてできないことがあると思うの。その点においてダニカは、ある意味、見本と言えるかもしれないわね」と称賛した。
そのダニカは、NASCAR(モータースポーツの総括団体)に対して、もし変えたいことがあるとしたら何かとの問いに、「変えたいのは、NASCAR関連の商品化ね。わたし達ドライバーは、商品化されたものでお金を受け取ることはないの。実際、NASCARの関係者の多くは、かなりお金をもうけていて、貪欲すぎると思うわ。もっとモータースポーツとして純粋であるべきだし、これはNASCARだけではないけれど、長い目で見ていくことも大切よね」と自身の考えを述べた。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)