土屋太鳳、受賞に涙…「デコボコな心」になっていた
女優の土屋太鳳が「第9回TAMA映画賞」最優秀新進女優賞を受賞し、18日に東京・パルテノン多摩大ホールで行われた授賞式に登壇。公の場では、いつも明るい笑顔と気遣いを見せる土屋だが、この日はこれまでの女優人生の中での辛い体験を振り返り、思わず涙した。
本年度最も飛躍し、活力あふれる活躍をした新人女優を表彰する同賞を、映画『トリガール!』において「役にひた向きに向き合い、あふれる笑顔と抜群の運動神経で演じ切る姿は、観客の心をわしづかみにした」と評価されて受賞した土屋は、「ありがとうございます」とうれしそうに賞状を受け取ると、家族が来場していることも報告した。
その中で、マイクの前に立った土屋は「映画の扉を叩いてから12年、少しずつ必死にその扉をこじ開けた中で、本当にたくさんの言葉に出会いました」と切り出すが、「温かい涙が心から出る言葉もあれば、冷たい涙が心をえぐることもあって、いつの間にかデコボコな……」とまで話すと言葉に詰まり、うつむき、涙で瞳を潤ませた。その後、ファンからの「頑張れ」という温かい声援と拍手をもらうと、「いつの間にかデコボコな心になっていましたけど、今回、受賞理由でいただいた言葉は『それでいいんだよ』と包み込んでくださるような、そしてこれからの自分の背中を押してくださるような言葉でした」と思いのすべてを出し切った。
そして、「この言葉を胸にこれから女優として歩いていきます」と前を見据えると、「『金メダル男』『PとJK』『兄に愛されすぎて困ってます』『トリガール!』、この愛してやまない作品たちの名前と一緒にここに立てていることが本当にうれしいです。この作品を通して出会ったすべての人すべての時間に心から感謝を伝えたいと思います」と謝辞を述べ、いつもの愛くるしい笑顔を見せた。
また、映画『トウキョウソナタ』(2008)でスクリーンデビューした土屋は、同作を出がけた黒沢清監督と「撮影ぶりにお会いすることができて、とてもうれしくて、また新たなスタートを切れるんじゃないかなと感じています」と喜ぶと、今後は「どんな役も演じ切れる女優になりたい。静かな役でも激しい役でも、人としての野生を感じられる演技を目指したいと思います」と目を輝かせた。(取材:錦怜那)
TAMA映画賞は、多摩市及び近郊の市民からなる実行委員が「明日への元気を与えてくれる・夢をみせてくれる活力溢れる<いきのいい>作品・監督・俳優」を、映画ファンの立場から感謝をこめて表彰。
第9回TAMA映画賞受賞作品、受賞者は下記の通り。
最優秀作品賞:
『散歩する侵略者』 (黒沢清監督、及びスタッフ・キャスト一同)
『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』(石井裕也監督、及びスタッフ・キャスト一同)
特別賞:
湯浅政明監督、及びスタッフ・キャスト一同 (『夜明け告げるルーのうた』『夜は短し歩けよ乙女』)
富田克也監督、及びスタッフ・キャスト一同 (『バンコクナイツ』)
最優秀男優賞:
浅野忠信 (『幼な子われらに生まれ』『沈黙 -サイレンス-』『淵に立つ』『新宿スワンII』)
池松壮亮 (『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』『続・深夜食堂』『デスノート Light up the NEW world』『永い言い訳』)
最優秀女優賞:
満島ひかり (『海辺の生と死』『愚行録』)
長澤まさみ (『散歩する侵略者』『銀魂』『追憶』『金メダル男』)
最優秀新進男優賞:
間宮祥太朗 (『トリガール!』『帝一の國』『劇場版 お前はまだグンマを知らない』『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』)
高杉真宙 (『逆光の頃』『散歩する侵略者』『トリガール!』『想影(おもかげ)』『ReLIFE リライフ』『PとJK』)
最優秀新進女優賞:
石橋静河 (『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』『PARKS パークス』『密使と番人』)
土屋太鳳 (『トリガール!』『PとJK』『兄に愛されすぎて困ってます』『金メダル男』)