筋通した…ゴジラ初の長編アニメは『シン・ゴジラ』があったから実現
ゴジラ史上初の長編アニメーション映画『GODZILLA 怪獣惑星』公開記念舞台あいさつが18日に都内で行われ、登壇した静野孔文監督、瀬下寛之監督、虚淵玄(ストーリー原案・脚本)らが制作にまつわる裏エピソードを明かし、ファンを喜ばせた。この日はキャラクター声優の宮野真守、花澤香菜も出席した。
これまでのどんな「ゴジラ」とも一線を画す本作は、近未来を舞台に、二万年もの間、地球に君臨し続けてきたゴジラとそれに対峙する人類の因縁の物語。
本作の制作決定は3年半前で、大ヒット映画『シン・ゴジラ』の公開より前に企画がスタートするも、瀬下監督は当初、「アニメでゴジラはムリムリと思った」といい、虚淵も「『ゴジラは特撮でしょう!』と最初はお断りしようと思った」と打ち明ける。ところが「特撮は今、庵野さん(庵野秀明監督)が作っている」とその時点では極秘事項だった話を聞き、「それならやります」と引き受けたのだとか。というのも、虚淵は「久々の日本産のゴジラがアニメだったら、ゴジラの立場がないじゃないか」と感じていたからであり、「伝統の特撮芸能のゴジラとしての最新作が出た後にアニメが来ます、というのなら筋が通る」とオファーを受けた理由を語った。
そして、「たぶん『シン・ゴジラ』はこういう話になるかな? という自分なりの予想を作って、そっちでやらなさそうなネタを拾って作品にしようと思った」と話すと、「きっと宇宙には行かないよな。X星人は出てこないよな。メカゴジラはたぶんないだろうな……」という考えの下で原案を制作。それを受け取った瀬下監督は「これならイケるって見た瞬間に思いました」と振り返った。
しかし最終決定は、ゴジラ映画はテレビ放送でちらっと観たことがあった程度で詳しくなく、打ち合わせで「なんでゴジラって口から火を吐くんですか?」と質問してその場を凍り付かせたこともあったという静野監督に任されたそう。虚淵は「せっかくアニメでやる以上は、特撮に来なかった人たちを拾う作品にする必要があり、ゴジラの『ゴ』の字も知らない人たち向けに作らなければいけなかったから」と説明すると、「静野さんの前でネタをやって、静野さんの顔がこわばってきたら、ヤバい止めよう! となった」と若手芸人のネタ見せのようなやり取りの中で本作が出来上がったことを明かして、会場の笑いを誘った。アニメーション版は3部作で制作されており、第2章『GODZILLA 決戦機動増殖都市』は2018年5月に公開される。(取材:錦怜那)
第1章『GODZILLA 怪獣惑星』は公開中