ゾンビ映画の父、ロメロの遺作「身元不明遺体」が日本で出版
![「NIGHTS OF THE LIVING DEAD ナイツ・オブ・ザ・リビングデッド 死者の章」竹書房文庫](https://img.cinematoday.jp/a/Vq0sJya_cRpR/_size_640x/_v_1511491470/main.jpg)
今年の7月に逝去したゾンビ映画の巨匠ジョージ・A・ロメロさんの遺作となった「身元不明遺体」を含む小説アンソロジー「ナイツ・オブ・ザ・リビングデッド 死者の章/生者の章」が24日、竹書房から刊行された。
1968年に公開され、後のゾンビ映画だけでなくポップカルチャーに影響を与えたロメロ監督のゾンビ映画『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド/ゾンビの誕生』。本書には、あの日、そしてあの夜、何が起こっていたのかを同作にインスパイアされたベストセラー作家19人がそれぞれのイメージで短編小説としてして書きおろし、死者の章と生者の章とに分けて収録されている。
ロメロさん自身も、検視官とその助手が遺体安置所で味わう恐怖を描く「身元不明遺体」という短編小説で参加しており、映画『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド/ゾンビの誕生』のエピソード0ともいえる興味深い内容となっている。
![中央奥がジョージ・A・ロメロ](https://img.cinematoday.jp/a/Vq0sJya_cRpR/_size_640x/_v_1511491470/1.jpg)
また、このアンソロジー小説はロメロさんの生前に編集されており、ロメロさん自身が寄稿した序文の内容がロメロさんファンにとってはたまらない。映画『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド/ゾンビの誕生』は黒人を主役にしており、人種差別が横行していた1968年当時センセーショナルな映画として捉えられていたが、ロメロさんはこの評価に対して製作者の立場として、黒人が主役になったのは偶然の産物で、この映画の成功は「誤った解釈によるところが大きいと」明かしている。それゆえ彼は「ゾンビ界の大御所」と言われることに戸惑っていたこと、そしてゾンビへの愛、それらが簡潔に綴られた泣けてくる名文となっている。なお、本書はアメリカではロメロさんの生前に出版されており、各作家の追悼文は日本オリジナルでの収録だ。(編集部:下村麻美)
「NIGHTS OF THE LIVING DEAD ナイツ・オブ・ザ・リビングデッド 死者の章/生者の章」ジョージ・A・ロメロ&ジョナサン・ベイリー編・著 阿部清美・訳は、定価各900円+税・竹書房文庫