2018年はこれが来る!~ヒット作品&若手注目株予想~
コラム
『美女と野獣』などで洋画が勢いを盛り返した2017年。その勢いは、どうやら2018年にも受け継がれそうな気配が漂う。今年はとにかく、シリーズものや続編の強力作が続々と公開されるからだ。(文・斉藤博昭)
年末から好調にヒットしている『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』は、前作『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』が2016年の洋画興行収入トップに輝いたことで、再び年間トップを狙う。前作が興収116.3億円なので、100億円がひとつの目標になるだろう。しかし今年はライバル作が立ちふさがる。『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(7月13日公開)だ。前作が2015年の洋画興収トップなので、夏休み映画の目玉としてメガヒットは確実。2015年と2016年の興収トップの続編、その対決が2018年の軸になりそう。年末に控える『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』(冬公開)も大ヒット作の「続編」である。
さらにシリーズものとしては、マーベルの集大成的な『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(4月27日公開)も登場。しかし過去2作が日本では36.1億円、32.1億円という数字なので、前述の「続編2強」は揺るがないだろう。むしろ安定感でいえば『ミッション:インポッシブル6(原題) / Mission: Impossible 6』(7月27日全米公開)が上位にくいこみそう。また、『デッドプール2(仮題)』(6月1日全米公開)あたりが再度の大化けの可能性を秘める。
シリーズ以外では、スティーヴン・スピルバーグ監督の『レディ・プレイヤー1』(4月20日公開)が、日本のガンダムなども登場するためその活躍に話題が集まれば、大ヒットのポテンシャルがある。ディズニー/ピクサーの長編アニメ『リメンバー・ミー』(3月16日公開)も作品の評価が高いうえ、『アナと雪の女王』の新作短編が併映されるので爆発的ヒットに期待したい。
一方で邦画は、人気アニメシリーズの新作『映画ドラえもん のび太の宝島』(3月3日公開)や『名探偵コナン ゼロの執行人(しっこうにん)』(4月13日公開)などが安定のヒットを確実にするなか、注目なのは細田守監督の新作『未来のミライ』(7月20日公開)だ。『おおかみこどもの雨と雪』(2012年)が42.2億円、『バケモノの子』(2015)が58.5億円と興収をアップさせている細田作品なので、この夏のアニメの主役として特大ヒットにつながるはずだ。
人気コミックの映画化は2018年もブームだが、2015年の『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』あたりから、映画化作品への賛否が分かれるようになり、昨年は『銀魂』が興行的に成功したものの、『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』や『鋼の錬金術師』などは思ったような数字を上げられていない。その意味で、2018年は『BLEACH』(夏公開)の実写版が、今後のコミック映画化の行く末を左右しそう。『となりの怪物くん』(4月27日公開)など恋愛系コミックの映画化は相変わらず量産されている。
むしろ邦画で大ヒットを射程に入れるのは、『劇場版 コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-(仮)』(7月27日公開)あたりか。人気ドラマの映画化であり、作品のスタイルから『海猿』(2004)のようなブームを起こすかもしれない。そして、今のことろ公開規模は大きくないが、元SMAPの3人が出演する『クソ野郎と美しき世界』(4月6日公開)は、2018年の大きな話題になるだろう。
今年大きくブレイクする俳優として挙げたいのは、ハリウッドでは22歳のティモシー・シャラメ。主演作『君の名前で僕を呼んで』(4月公開)でアカデミー賞主演男優賞ノミネートが確実視され、同じくアカデミー賞に絡む『レディー・バード(原題) / Lady Bird』でも名演し、その甘いマスクは日本でも人気を集めそう。『レディ・プレイヤー1』でヒロインをキュートに演じるオリヴィア・クックあたりも注目株だが、若手女優は誰が一気に頭角を現すのか未知数だ。
邦画では、すでに人気を得ているももの、2018年、出演作が相次ぐ吉沢亮(『悪と仮面のルール』『レオン』『リバーズ・エッジ』『ママレード・ボーイ』『あのコの、トリコ。』)が、昨年の菅田将暉のような爆発的ブレイクの予感。そして、『あのコの、トリコ。』『きらきら眼鏡』と出演作が続く杉野遥亮や、同じく『きらきら眼鏡』で共演する人気モデルの古畑星夏、さらに「第二のガッキー」と言われる南沙良が主演作(『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』)でブレイクの足がかりをつかむかもしれない。(数字は日本映画製作者連盟調べ)