フィギュアスケート史上最大のスキャンダル!脚本家が明かす裏側
マーゴット・ロビーが実在のフィギュアスケーター、トーニャ・ハーディングを演じた話題作『アイ、トーニャ(原題)』(2018年初夏 日本公開)について、キャストのアリソン・ジャネイと脚本家スティーヴン・ロジャースが2017年12月11日(現地時間)、ニューヨークの近代美術館(MOMA)で行われた特別試写の上映後のQ&Aで語った。
本作は、フィギュアスケート史上最大のスキャンダル「ナンシー・ケリガン襲撃事件」の渦中にいたトーニャ・ハーディングの半生を描いたドラマ。貧しい家庭で厳しい母親ラヴォナ(アリソン)のもと幼くしてフィギュアスケートを始めたトーニャ(マーゴット)は、夫の家庭内暴力に悩まされながらも米女子選手で初めて(公式試合で)トリプルアクセルを成功させ、全米選手権で優勝するほどの選手に成長する。しかし1994年、リレハンメル五輪の代表選考会を兼ねた全米選手権前に、ライバルのナンシー・ケリガンが何者かに襲われトーニャと元夫が犯人ではないかと疑われていく。『ラースと、その彼女』のクレイグ・ギレスピーが監督を務めた。
実際にトーニャや元夫にインタビューして脚本を執筆したというスティーヴンは、「クリスマスのディナーを題材にした前作『クーパー家の晩餐会』の脚本を書き終え、次回作は全く異なった作品を執筆したいと思っていた時に、『30 For 30: The Price of Gold』というテレビドキュメンタリーを観たんだ。そこにはアメリカの社会階級の違い、フィギュアスケート界のフランチャイズ、(フィギュアスケート界で)女性が何を求められているのかが描かれていたよ。その後、僕はトーニャの公式サイトからエージェントに連絡して彼女と別れた夫ジェフに取材したのだけど、二人の話は全て食い違っていた。そこで僕は両方の観点から描いて、観客に何が正しいか自分たちで決めてもらえるように執筆することにしたんだ」とその経緯を説明した。
トーニャの母親を演じたアリソンはフィギュアスケートをしているシーンは無いが、実はかつてフィギュアスケートの選手だったそうで、「子供の頃はフィギュアスケートのオリンピック選手になることが夢だったの。朝5時に起きて学校に行く前にスケートリンクで練習し、学校が終わってからも練習していたわ。でも成長するにつれ、背が高すぎたり、アクシデントもあってスケートをやめることになったのよ」と映画との意外な接点を明かした。
また、強烈なキャラクターである母親ラヴォナについては、「(撮影前は)いろいろな質問ができたと思うから、会えたらよかったと思うのだけど、会うことはできなかったの。ただ彼女を演じてみて、今は彼女に会いたいとは思わないわ。もう映画は完成してしまったもの」とアリソン。彼女はプレミアで実際にトーニャに会ったそうだが、その際、母親の演技が素晴らしかったと褒められたそうだ。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)