『パシリム』続編にもオタク魂!今度の監督も本物だった!
巨大ロボットと怪獣のバトルを壮大なスケールで描き上げ、映画ファンの度肝を抜いたギレルモ・デル・トロ監督の『パシフィック・リム』。日本のポップカルチャーへのリスペクトから誕生した大ヒット作の第2弾『パシフィック・リム:アップライジング』の公開が2018年4月に決定した。今作で監督に抜擢されたスティーヴン・S・デナイトに、その思いを語ってもらった。
「スパルタカス」や「Marvel デアデビル」など人気ドラマを手がけてきたデナイトにとって、『アップライジング』は劇場映画デビュー作。本作へのオファーが舞い込んだ時は、自身も驚いたと明かす。「もともと(製作会社の)レジェンダリー・ピクチャーズとは、僕が温めてきた別の企画を話し合っていた。ハリウッドでは小規模な8億円クラスの作品さ。ところがある日、その前に『パシフィック・リム』を撮ってみないかと聞かれて驚いたよ」とデナイト。10倍以上の規模を誇る超大作だが、すぐにオファーを受けたという。「とにかく第1作が大好きなんだ。尊敬するギレルモの作品だし、僕自身も子供の頃から怪獣や巨大ロボが大好きだからね」。
生みの親であるデル・トロは、今作にはプロデューサーとして参加する。デナイトは準備に取りかかる前に、デル・トロとミーティングを行った。「ギレルモの自宅を訪問し、『パシフィック・リム』の話はもちろん、好きな映画やコミック、アートの話もしたよ。『アップライジング』に関しては、僕のビジョンを大切にしてほしいと言ってくれた」と振り返る。「ちょうどギレルモは(ベネチア国際映画祭金獅子賞に輝いた新作)『シェイプ・オブ・ウォーター』に入る直前で、これから忙しくなるが可能な限りサポートをすると約束してくれた。何より嬉しかったのは、前作の世界観を守るのではなく一緒に広げていこうと言ってくれたことだった」とクリエーターとしてのデル・トロの姿勢を称えた。
少年時代より「ウルトラマン」や「ジャイアントロボ」など日本の特撮テレビを観て育ったというデナイトは、『パシフィック・リム』にはうってつけ。彼はダイナミックな特撮はもちろん、そのストーリーに心を動かされたという。「たとえば『マグマ大使』には家族の大切さが描かれている。初代『ウルトラマン』は自己犠牲と義務の物語。ウルトラマンがハヤタ隊員に自分の命を与える姿に本当に感動した」と特撮愛を語るデナイト。「トイレットペーパーの芯をベーターカプセルに見立て、ハヤタになりきった」と、ウルトラマンごっこに夢中になった少年時代の思い出も披露してくれた。
そんなデナイトが巨大ロボVS怪獣バトルにどう挑むのか。デナイトがキーワードにしたのは、10年という歳月だった。「(前作から)10年後の設定なのでテクノロジーは進化している。そのひとつが、イェーガーごとに特殊な機能を持たせたこと。いわばゲームコントローラーの(ABボタン以外の)Yボタンさ。侵略者プリカーサーの怪獣たちも同様で、より進化したイェーガーと怪獣のバトルを楽しんでもらえるはず」と自信をのぞかせる。演出面でも前作との違いを出したという。「ギレルモの重厚なバロック調を基本にしたが、同じ事をしてもかなわない。だから今作は夜でなく昼、雨ではなく晴天と、ビジュアルも変えている。前作の良さを踏襲しながら独自色を出してるよ」。
映画のクライマックスは東京での市街戦。何度もテレビや映画の中で怪獣たちに襲われた“怪獣シティー”を自分の手で破壊でき、これ以上に光栄なことはないと笑うデナイト。「ファンならニヤリとしそうなイースターエッグ(隠し要素)もたくさんある」と陽気に語るデナイトのポジティブなオタク魂に、前作とはまた違った魅力を持つ『パシリム』への期待をかき立てられた。