映画のカラオケシーン8選!新年会は歌でストレス発散
新年会と言えばカラオケ! というわけで浅野忠信が『幼な子われらに生まれ』(上映中)で披露したエレファントカシマシの「悲しみの果て」をはじめ、映画に登場するカラオケシーンから名曲をピックアップしてみました。(編集部・石井百合子)
エレファントカシマシ「悲しみの果て」:『幼な子われらに生まれ』より
奈苗(田中麗奈)と再婚し、平凡でも幸せな家庭を築こうと日々努力していた中年サラリーマンの信(浅野忠信)だが、奈苗の妊娠をきっかけに長女が反抗的になり、信に当てつけるかのように「実の父親に会いたい」と言い募る。そんな矢先、勤務先で左遷され八方ふさがりとなった信は、ストレス発散とばかりに一人カラオケへ(あまり慣れていない様子)。終盤には、今度は奈苗がカラオケで同じ曲を歌っており、それを外から信が覗き見ているという場面もある。
神聖かまってちゃん「ロックンロールは鳴り止まないっ」、竹内まりや「カムフラージュ」など:テレビドラマ&映画『モテキ』より
テレビドラマ版は全話のエピソードに曲名がつけられ、ドラマの終りに「モテ曲」としてその回に使用されたナンバーを紹介するのがお約束。音楽とキャラクターの心情がシンクロするかたちでストーリーが展開した『モテキ』シリーズ。映画版では「実は一人カラオケ好き」という恋愛体質のOL・るみ子役(麻生久美子)が、竹内まりやの「カムフラージュ」や JUDY AND MARY の「LOVER SOUL」、B'zの曲などを披露。思いを寄せる主人公・幸世(森山未來)との価値観の相違が音楽の嗜好にも表れていた。テレビドラマ版では、カメラマンアシスタントの中柴いつか(満島ひかり)が、プレーボーイの島田(新井浩文)への思いを吹っ切るべく、神聖かまってちゃんの「ロックンロールは鳴り止まないっ」を歌って浮きまくる場面が切なく、印象的。
森田童子「ぼくたちの失敗」:『リップヴァンウィンクルの花嫁』より
『スワロウテイル』『花とアリス』などの岩井俊二監督が、派遣教員・皆川七海(黒木華)の数奇な運命を描くサスペンス。SNSで知り合った男性と結婚するも、息子を溺愛する姑の策略で離婚させられ全てを失った七海は、“なんでも屋”の安室(綾野剛)に紹介された結婚式の代理出席のアルバイトで、里中真白(Cocco)と出会う。結婚式のバイトを終えて意気投合した2人がふらりと店に立ち寄るシーンで、七海が披露したのが「ぼくたちの失敗」。美声に驚くが、吹き替えなしで黒木本人が歌っているそう。伴奏しているのはRADWIMPSの野田洋次郎という何とも贅沢なシーン!
尾崎豊「ダンスホール」:『やわらかい生活』より
『ヴァイブレータ』の廣木隆一監督&寺島しのぶが再び組み、芥川賞受賞作家・絲山秋子の小説を映画化。ヒロインは35歳、独身の優子(寺島)。一流大学卒業後、一流企業の総合職に就くキャリアウーマンだったが両親を亡くしたことから精神を病み、出会いがあってもうまくいかず孤独な日々。そんなある日、九州にいるいとこの祥一(豊川悦司)が突然居候となり、初めは渋々ながらも初体験の相手でもあった祥一に癒やされていく。競馬で大勝ちした2人がカラオケボックスで尾崎豊の「ダンスホール」を歌うシーンは約4分に及ぶ長まわしで、映画のワンシーンとは思えない生々しさ。初めは豊川がソロで歌い出し、終盤は豊川&寺島のデュエットになっている。
ヒロシ&キーボー「3年目の浮気」:『葛城事件』より
劇作家にして、『その夜の侍』で監督も務めた赤堀雅秋がメガホンを取り、次男が無差別殺人を起こしたことで崩壊していく4人家族の行く末を描いた『葛城事件』で、一家のあるじを演じた名優・三浦友和。マイホームを手に入れ理想の城を築いたはずの清だったが、妻と息子たちとの間にはいつの間に深い溝が生じ、次男の事件後、さらに孤立していく。清がスナックでデュエット曲「3年目の浮気」を歌う場面では、男性パートだけを必死に追いかける姿に哀愁が漂う。三浦は、映画のPRイベント時に「『3年目の浮気』に命を賭けていました」と発言しており、男性パートしか歌えないことにストレスを感じたのか、プライベートで百恵夫人とカラオケに行き、本曲をデュエットで歌ったという。
吉幾三「俺ら東京さ行ぐだ」:『溺れるナイフ』より
ジョージ朝倉の人気コミックを映画化したラブストーリーで、東京から田舎町に引っ越して来た美少女・望月夏芽(小松菜奈)に片想いするクラスメイトの大友勝利を演じたジャニーズWEST・重岡大毅。田舎町で有名な神主の一族・長谷川航一朗(菅田将暉)に恋焦がれ、翻弄される夏芽を、常に励まし支えていた勝利。そんな勝利のいちずな思いにこたえるかに見えた夏芽だが、結局は航一朗への思いを断ち切れず、やりきれない気持ちをかき消すかのように夏芽の前で「俺ら東京さ行ぐだ」を熱唱する。重岡の渾身の演技が光る名シーン。
プリテンダーズ「ブラス・イン・ポケット」、ロキシー・ミュージック「モア・ザン・ディス」など:『ロスト・イン・トランスレーション』より
東京を舞台に、ビル・マーレイ、スカーレット・ヨハンソンらハリウッドスターのほか、マシュー南やダイアモンド☆ユカイ、桃生亜希子、HIROMIXら日本人も大挙出演し、話題になったソフィア・コッポラ監督作。CM撮影のため来日した俳優のボブ(マーレイ)と、フォトグラファーの夫の仕事に同行してきた若妻シャーロット(ヨハンソン)。2人が滞在したパークハイアット東京をはじめロケーションも注目を浴びたが、中でも印象的だったのがカラオケシーン。異国で寂しさを抱え、共鳴したボブとシャーロットが夜の街に繰り出し、カラオケで大騒ぎ。シャーロットはプリテンダーズの「ブラス・イン・ポケット」を、ボブはロキシー・ミュージックの「モア・ザン・ディス」などを歌唱。ピンクのウイッグをつけ、ハスキーボイスで踊い踊るスカーレットがチャーミング!
JUDY AND MARY「ドキドキ」、スピッツ「ロビンソン」:『机のなかみ』より
お笑い芸人のあべこうじが、教え子の女子高生に恋してしまう家庭教師を好演したトリッキーなコメディー。監督は『ヒメアノ~ル』『犬猿』などの吉田恵輔。恋人と同棲中であるにもかかわらず、望(鈴木美生)に夢中になる馬場(あべ)。しかし、彼女は親友・多恵(清浦夏実)の彼氏である藤巻凛(坂本爽)に恋していた。多恵と付き合いながらもタイプの異なる望にも惹かれる凛は、2人きりになるチャンスを得てデートへ。その時にカラオケで2人で歌ったのが JUDY AND MARY の「ドキドキ」とスピッツの「ロビンソン」。“秘密の関係”に気持ちが昂っているのか、互いに歌う姿にうっとり。ジュディマリ&スピッツという選曲も相まって、青春を謳歌するティーンたちのきらめきを捉えた甘美なシーンとなっている。