『シェイプ・オブ・ウォーター』美しき異形誕生の裏にマーベルキャラの存在
第90回アカデミー賞で作品賞を含む最多13部門にノミネートされた映画『シェイプ・オブ・ウォーター』から、物語のカギとなる不思議な生き物について、“彼”を演じた俳優ダグ・ジョーンズと、監督のギレルモ・デル・トロが語る特別映像が公開された。
冷戦下のアメリカを舞台に、声が出せない人間の女性と異形の生物による、言葉も姿形をも超越した愛を描く本作。孤独な女性イライザと心を通わせる生物にはエラがあり、全身を美しい鱗で覆った “半魚人”のような存在だ。
キャリアを通じて、作品に異形への愛を込めてきたデル・トロ監督が、この不思議で美しい“彼”役に指名したのが、ダグ・ジョーンズ。数々の映画でクリーチャーを演じてきた職人でもあり、今回が6度目のタッグとなるデル・トロ作品でも、『ヘルボーイ』の知性的な半魚人エイブ・サピエンや、『パンズ・ラビリンス』の両手に目がついた怪人ペイルマンなどを演じてきた。
芸術を理解する、みずみずしい感性を持つ“彼”を見事に演じたダグについて、デル・トロ監督は「ダグに出演を頼んだのは彼が役者だからだ。あの役を演じきれなければ、この映画は成立しない」と証言。「存在感のある役だ。古代の強いエネルギーを感じさせる」という難役をこなした熱演について「いかに優れてるか見てほしい」と称賛する。
一方のダグは、デル・トロ監督が口にしたあるキャラクターが、役づくりの参考になったという。それは、マーベルの人気キャラクターであり、ダグがかつて『ファンタスティック・フォー:銀河の危機』で演じた「シルバーサーファー」だった。「監督は僕の役を分かりやすく表現してくれた。“シルバーサーファーと闘牛士の融合体”と。勇ましく堂々としてる、闘牛士は優雅で力強くセクシーでもある」。
本作では、“彼”と共演したイライザ役のサリー・ホーキンスと、彼女の親友であるジャイルズを演じたリチャード・ジェンキンスも、そろってアカデミー賞にノミネートされているが、2人の名演を支えた異形の熱演にも注目したい。(編集部・入倉功一)
映画『シェイプ・オブ・ウォーター』は3月1日より全国公開