何が韓国の鬼才を虜にしたのか?衝撃サスペンス『殺人の追憶』の舞台版が日本初上演
韓国のポン・ジュノ監督の名前を一躍世界にとどろかせることとなった秀作『殺人の追憶』(2003)の基となった舞台「私に会いに来て」が3月14日~21日まで東京・新宿のサンモールスタジオで日本初上演される。韓国では1996年の初演以降、繰り返し上演されている人気舞台で、ポン監督も映画化にあたり何度も劇場に足を運んだという伝説の舞台だ。何が韓国の鬼才を虜にしたのか? 映画ファンの間でも大きな関心を呼びそうだ。
「私に会いに来て」は、1986年~1991年に韓国・京畿道華城市周辺で10人の女性が殺害された韓国初の連続殺人事件、通称「華城(ファソン)連続殺人事件」という実話を基にしている。6年間で動員された警察官は167万人に及び、2万人以上が容疑者として捜査対象となったと言われているが、事件は2006年に時効を迎え迷宮入りしている。
『殺人の追憶』はソン・ガンホとキム・サンギョン演じる刑事たちがこの事件を追っていく形で徐々に犯人の猟奇性と殺害の残虐性があらわになり、なおかつ、捜査が進展せずに刑事たちの方が心理的に追い詰められていくという展開だった。
一方「私に会いに来て」は警察署内が主な舞台となり、より刑事たちの人間模様にフォーカスしているという。さらに被疑者3人と真犯人の4役を一人の俳優が演じる演劇的な仕掛けがあり、舞台上の刑事たちのみならず観客たちも犯人に翻弄されそうだ。
出演は北野武監督『Kids Return キッズ・リターン』のモロ師岡、現在は韓国を拠点に活動している幸将司、映画監督としても活躍している山下徹大、テレビドラマ「毒島ゆり子のせきらら日記」で前田敦子の先輩政治部記者を演じていた今藤洋子、舞台版「海街diary」で四女・すず役で注目された木下愛華ら。
日本版の上演台本と演出を手がける「劇団ショーマ」の高橋いさをは「映画版とは違う本作は、舞台劇ならではの大きな魅力を持っている。そして残忍な連続殺人事件を描くこの劇のタイトルを『私に会いに来て』とした作者の思いを感じてほしい」とコメントしている。(取材・文:中山治美)
舞台「私に会いに来て」は3月14日~21日まで東京・新宿のサンモールスタジオにて上演