衝撃の不倫スキャンダル事件が映画化、主演俳優が複雑な心境を告白
ジョン・F・ケネディ元米大統領とロバート・ケネディ元米司法長官の弟であるエドワード・ケネディ元上院議員が起こしたチャパキディック事件を描いた映画『チャパキディック(原題) / Chappaquiddick』について、主演のジェイソン・クラークが、4月5日(現地時間)、ニューヨークのAOL開催イベントで語った。
【写真】『猿の惑星:新世紀(ライジング)』でのジェイソン・クラーク
チャパキディック事件とは、1969年の夏、マサチューセッツ州の上院議員エドワード・ケネディ(ジェイソン)が交通事故を起こし、同乗していた女性が死亡したスキャンダル。エドワードは、ナンタケット湾のチャパキディック島で行われたホームパーティーに参加後、兄ロバートの選挙スタッフだったマリー・ジョー・コペクニ(ケイト・マーラ)とパーティー会場を抜け出し、車で別荘に戻ろうとした際に、橋から車ごと転落。水没しかけた車からエドワードはなんとか脱出したものの、マリーを置き去りにしてしまい、彼女は死亡。そんな衝撃の事件を、さまざまな観点から描く。映画『奇跡の2000マイル』のジョン・カランがメガホンを取った。
実在の人物、エドワード・ケネディ元上院議員役をオファーされた時、さまざまなことが脳裏をよぎったというジェイソンだが、出演を決めた経緯について、「妻と赤ちゃんと飛行機でロサンゼルスからパリに向かっていた時に、(今作の)脚本を読んでいたんだ。読み終わった時に、妻に『どうだった?』と聞かれたんだけど、何て答えて良いかわからなかったよ。確かに素晴らしい作品を読んだ気はしたけれど、自分自身は(その衝撃の内容を)どう感じてよいのかわからなかったんだ。その後、脚本に記された多くの事実を確認したけれど、僕は、今まで生きてきた中でこの事件を知らなかったことが信じられなかったね。エドワードがロバート・ケネディ元米司法長官の葬式で弔辞を読んでいる映像を観た時は、胸が張り裂けるような気持ちになったよ。一方で、彼のことについて考えることをやめることができなくなっていったんだ」と説明した。出演を決めた後は、世間に広く知られているエドワード・ケネディを実際に演じられるのか自問したという。
映画内では、エドワードは皮肉屋で計算して行動しているようにも見える一方で、事件のショックそのままに行動しているようにも見える。そんな当時の彼の心境については、「当時の彼は、この恐ろしい悲劇によって、窮地に立たされていたんだ。『もう僕は大統領にはなれない』と語っているが、その言葉はとても正直で、かなり深い意味を持っていると思うんだ。僕が気に入っているところでもあるよ」と語った。
エドワードを演じるうえで最も困難だったことは、「自分が演じる実在の人物に、常に敬意を表さなければいけないということだったね。そして、ベストを尽くさなくてはならない。エドワードにも子供がいるため、正直に、敬意を表して演じたかったんだ。しっかりした準備も必要だったよ。実在の人物を演じる時は、さまざまな資料があることで雑念も入るから、受け入れるのは困難かもしれないけれど、『これが自分の解釈のエドワード・ケネディだ』と信じて演じたよ。だから僕とジョン(監督)は、瞬間瞬間をつかむように努めたんだ」と明かした。姿や顔を似せるより、エドワードの精神面にこだわったそうだ。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)