無料配信『オマールの壁』『パラダイス・ナウ』ガザ無差別攻撃を受け
1948年5月14日のイスラエル建国によって70万人のパレスチナ人が故郷を追われた「ナクバ(大惨事)」から70年を迎えた今年、パレスチナ自治区ガザで14日から行われた抗議活動にイスラエル軍が発砲し、多数の死傷者が出たことが報じられた。この報道を受け、パレスチナの現状を映した名作『パラダイス・ナウ』『オマールの壁』がアップリンク・クラウドで無料配信されることが決定した。
無料での鑑賞は5月31日23時59分までの期間限定で、クーポンコード「NAKBA70」を入力すれば可能になる。鑑賞手順の詳細はアップリンク・クラウドの特設ページにて。
イスラエル軍に包囲された町ナブルスを舞台にした『パラダイス・ナウ』(2005)は、自爆攻撃に向かう二人の青年の48時間を描き出したハニ・アブ・アサド監督作品。第63回ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞や、第55回ベルリン国際映画祭ヨーロピアンフィルム賞に輝いた。第78回アカデミー賞では外国語映画賞にノミネートされるも、そのテーマから自爆攻撃の犠牲者遺族がノミネートから外すよう反対署名を行うなど論争を巻き起こした。
同じくアサド監督がメガホンを取った『オマールの壁』(2013)は、監視塔からの銃弾を避けながら分離壁を越えて壁の向こう側に住む恋人に会いに行っていた真面目なパン職人のオマールが、ある日イスラエル軍に捕らえられ、命と引き換えにスパイになることを迫られるさまをサスペンスフルに描写した社会派ドラマ。同国の“今”を生々しく活写し、第66回カンヌ国際映画祭「ある視点部門」審査員賞を受賞、第86回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた。
また、アップリンク・クラウドを運営する配給会社アップリンクでは、パレスチナ自治区の美容室を舞台に戦争状態という日常をたくましく生きる13人の女性を描いた『ガザの美容室』も配給しており、6月23日に公開を控えている。(編集部・吉田唯)