イベント不参加の大泉洋に、韓国の名優「あの野郎…」と残念がる
数々の演劇賞を総なめにした鄭義信の名作舞台を映画化する『焼肉ドラゴン』(6月22日公開)の「一家大集結 舞台あいさつ付きイベント」が22日、都内で行われ、物語の中心となる一家のアボジ(お父さん)役を務めた韓国の名優・キム・サンホが来日。ともに登壇した共演の真木よう子、井上真央、桜庭ななみ、大江晋平、そして鄭監督と撮影の思い出を振り返った。キムは、この日参加できなかった主要キャストの大泉洋に対して「あの野郎、今日は別の仕事で来れないって、何だよ。会いたかったのに」とキョーレツなラブコールで会場を沸かせた。
【写真】真木よう子、井上真央、桜庭ななみ、“アボジ”と再会!
『海にかかる霧』『隻眼の虎』などで知られる、韓国きってのベテラン・キムは、本作で美人3姉妹(真木、井上、桜庭)と一人息子(大江)の父親・龍吉を演じる。戦争によって左腕を奪われながらも常に明るく、家族を見守る役どころだ。
真木がキムについて「アボジは、場の雰囲気をとっても和やかに盛り上げてくれるんです。お会いしてすぐ、韓国語のとっても汚い言葉も教えてもらいました(笑)」と本当の父親のような親しみを込めて紹介。続いて井上から「おはようって(現場で)アボジに会うと『今日はみんなで飲みに行けるかなぁ?』って、朝からずっとお酒のことばかり考えてて、かわいいなと思いました。結局、毎日飲んでましたし、時々ご一緒しました。撮影初日は1軒目が2軒目になり、姉さん(真木)に『アボジ、(明日早いから)帰るよ』って言われてた」と微笑ましいエピソードも。桜庭も「わたしたち家族に対する愛情がすごく大きくて、わたしたちもアボジに同じくらい大きな愛を返さなきゃって、毎日撮影してました」と撮影から約1年ぶりという、キムとの再会を喜んでいた。
そんなキムは撮影中、次女・梨花(井上)の婚約者・哲男役の大泉と、頻繁に翻訳アプリを使って会話を楽しみ、大泉のことが大好きになったのだという。「とても愉快な人で、たくさん話せて楽しかったです。あの野郎、今日は会いたかったな。どこかでウロウロ、迷っていないで、早くここにおいで」と茶目っ気たっぷりに大泉に呼びかけた。
このほかイベントでは、オモニ(お母さん)の英順を演じた『母なる証明』『哭声/コクソン』などの イ・ジョンウンから届けられた「離れていても、わたしたちが家族であることを決して忘れません」という手紙も読み上げられ、映画を通じた日韓キャストの温かい交流が印象的だった。
本作は、万国博覧会が開催された1970年の関西の地方都市を舞台に、高度経済成長に浮かれる社会の片隅で、小さな焼肉店「焼肉ドラゴン」を営む一家が、時代の波に翻弄されながら、たくましく生きる姿を描く人生賛歌。映画『月はどっちに出ている』『血と骨』などの脚本家として知られる鄭が作・演出し、読売演劇賞大賞・最優秀作品賞などの数多くの演劇賞に輝いた同名舞台を、自ら初メガホンを取り映画化。鄭監督は「小さな路地のセットに毎日集まって撮影をしていると、そこがいつしか自分の家のように感じられるようになりました」と完成に手応えを見せていた。(取材・文/岸田智)