夏川結衣、涙止まらず…心が折れた役づくり
女優の夏川結衣が25日、都内で行われた映画『妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII』(公開中)の初日舞台あいさつに登壇し、山田洋次監督からのムチャぶりのようなハードなフラメンコ練習を振り返って何度も涙をぬぐった。舞台あいさつには夏川と山田監督のほか、橋爪功、吉行和子、西村まさ彦、中嶋朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優も登場した。
本作は、国民的映画『男はつらいよ』シリーズなどの山田洋次監督が手掛ける喜劇映画『家族はつらいよ』シリーズの第3弾。「主婦への讃歌」をテーマに、気遣いのない夫・幸之助(西村)の言葉に不満が爆発して妻・史枝(夏川)が家出をしたことで、3世代で暮らす一家の家事を担う主婦がいなくなった平田家の大騒動を描く。
劇中でフラメンコに挑戦した夏川だが、台本を読んだときは「踊っている女性が振り向いたら史枝になる」と書いてあったため、合成でできると思ったという。しかし、山田監督が「彼女は練習をやっているのかい?」と言っているのを知り、大急ぎで練習を開始。結果的にフラメンコをマスターするも、夏川は「(台本を)書く前に一度ご相談いただきたいな」と恨み節で、山田監督は「どうもすいませんでした」と頭を下げていた。
その後、ダンスの先生とダンサーたちがサプライズ登場してフラメンコが披露されると、夏川は思わず涙。先生はダンス経験が全くない夏川に戸惑いながらも指導を始めたそうで、途中、山田監督から状況を聞かれると、全然踊れていないにも関わらず「すごく筋がいいですよ」と嘘をついたことを告白。夏川も「心が折れてしまって、間に合わないんじゃないかと本当に思ったんです」とつらかった心情を訴え、何度も涙をぬぐうが、山田監督は「まぁ、かわいそうなことを」と人ごとのようなコメントで会場の笑いをさらっていた。
林家も山田監督に泣かされたようで、あるシーンで「頭の中が真っ白になるくらいダメ出しされたので、(観ていて)泣けるんです。あの時、頑張ったな。監督のダメ出しに耐えたなって」とぶっちゃけ。さらにはマスクを取る場面で「100回近く取ったような気がする」と回顧。そして、山田監督の「君はどういう気持ちでマスクを取るんだ。指が物語らないとダメなんだよ」という痛烈なダメ出しにより、マスク恐怖症になったことも明かしていた。
蒼井と夫婦役の妻夫木は、劇中の自分たちの未来に夢を描くも「(子供には)平田家の遺伝子をあまり継いでほしくない」と苦笑い。蒼井は「名前はわたしたちに決めさせてほしい。絶対会議を開いて、(橋爪演じる周造が)『俺の一文字使え』って言い始めるから」と渋い顔を見せた。すると山田監督は「なるほどね~」と納得し、空を見つめて考え事をすると「最後に誰かが泣き出したりしてね。『なんでこんなめでたいことで泣かなきゃいけないんだ』って」とシリーズ第4弾にもなりそうなアイデアを語り、ファンの期待をあおっていた。(取材:錦怜那)