北川景子「スマホを落としただけなのに」実写映画化
新人文学賞「『このミステリーがすごい!』大賞」で、受賞は逃したものの将来性を感じる作品“隠し玉”に選ばれた志駕晃のデビュー作「スマホを落としただけなのに」が、女優・北川景子主演で実写映画化されることになった。監督は『リング』シリーズなどの中田秀夫が務め、11月2日に全国公開される。
原作は「『このミステリーがすごい!』大賞」で「スマホを落とすという誰にでもありそうな日常の災難を、とんでもない厄災につなげていく過程が面白い」と評されたミステリー。恋人がスマートフォン(スマホ)を落としたことをきっかけに、自らの個人情報を狙われ、思いもよらない大事件に巻き込まれていくヒロインの姿を描いている。映画『スマホを落としただけなのに』でこのヒロイン、派遣OLの麻美を演じるのが北川。北川は「自分自身ではなく、恋人がスマホを落としたことから、自分自身の過去、個人情報、SNSのアカウント情報、写真などが次々と流出し、人生が変わってしまう不運な主人公を絶対に演じたいと思いました」と思い入れが強く、作品のテーマは「本当の人と人の絆や愛は、スマホを通じてではなく、心で通じ合うもの」だと思っているという。
また、Jホラーを代表する世界的監督の一人である中田監督と初タッグとなる北川は「脚本に対する私の質問のひとつひとつに丁寧に答えてくださり、中田さんと一緒に映画を作れるならとても安心だと思いました。普通のカップルの普通の日常が、ただスマホを落としただけで一変してしまう…。そんなスリリングな部分と、日常のシーンとのコントラストに配慮しながら丁寧に作っていきたいと思います。良い作品を作れるよう頑張ります」と意気込んでいる。
中田監督は「『スマホを落としただけなのに』は、この原作の題名にまずはヤラレました」と切り出すと、「現代人(ほぼ世界中の人々)が『最も身近な相棒』をうっかりどこかに置き忘れただけで、『いったいどこまでの目に遭うの?』と誰もが関心を持つテーマで、エンターテイメントの題材としても大きな可能性を感じます」とテーマと題材への手応えを語り、「『出口なしの現代の迷宮』にあっという間に引きずり込まれていくヒロインたちに、思いきり感情移入しながら観てもらえる作品に仕上げたいと思います。一方、ヒロインを北川景子さんに演じていただくことで、状況は最悪なのだけれど、同時に、洗練され、どこか優雅なテイストを持つ、ミステリーにしたいと思っています。そういう意味で、おこがましいですが、『ライバルはヒッチコック』を胸に、撮影に挑みます」と心境を明かしている。
原作者の志駕は「この『スマホを落としただけなのに』は、私自身、酔っ払ってスマホを落とし、誰にも連絡が取れず四苦八苦した経験から生まれたサイバーミステリーです。運よく出版化にこぎつけたと思ったら、僅か1年半で映画化となり、さらに密かにこの人ならばと思っていた北川景子さんに、まさか本当に主演してもらえるとは……。スマホを落としただけなのに、その後の夢のような展開にただただ驚いています。しかし普通はスマホを落とすと、データの流出やSNSのなりすましなど、とっても怖い目にあいますので、この映画を見てセキュリティを強化してください。絶対に、参考になるはずです。なにしろこれは、誰にでも起こりうるミステリーですから」と驚きと喜びを表しながらメッセージを送った。
現在撮影中で、7月5日にクランクアップ予定。先日のカンヌ国際映画祭ではマーケットに出品し、撮影前にもかかわらずアジア圏を中心に32社から問い合わせがあり、韓国でのリメイク企画が早々に決定したという。(編集部・小松芙未)