村上虹郎×広瀬アリスで中村文則『銃』映画化
芥川賞作家・中村文則のデビュー作「銃」が映画化され、今秋に全国公開されることが明らかになった。主演は村上虹郎、ヒロインは広瀬アリス、ほかリリー・フランキー、日南響子、新垣里沙、岡山天音らが共演する。
映画『銃』は、思いがけず拳銃を拾った大学生の西川トオル(村上)が、次第に追い詰められていくストーリー。銃に魅了され、持ち歩き始めたトオルだったが、突然の刑事(リリー)の訪問であることを決意する。企画・製作を、『その男、凶暴につき』の製作・原案や、カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞した『うなぎ』の製作などで知られる奥山和由が務め、『百円の恋』の武正晴監督がメガホンを取っている。
「僕のデビュー作『銃』は、発表後16年近く経ってもずっと版を重ねている、とても大切な作品です」と作品への思いを明かした原作者の中村は、映画について「拝見した時、『物凄い映画を観た』と思いました」と驚きを語っている。徐々に狂気が満ちていくトオルを熱演した村上は、「監督と1ミリのズレもなく同調し築きあげた“私”役という存在を武組のみなさんに切り撮っていただきました。奥山和由さんプロデュースのもと、中村文則さんの第一子にして宝物のような“銃”を最高の形でみなさまに届ける事ができると思います」と確かな手応えを感じている様子だ。
快活さとは反面、心に何らかの問題を抱えている女子大生ヨシカワユウコを演じた広瀬は、「作品の中では唯一救いの手を差し伸べるような、平和な空気を感じさせてくれる存在でした」と役について語っており、続けて「そうであるために、撮影の時は村上虹郎くんとはあまり会話をせず、2人の無言の空間をとても大事にしていました。学生の時感じる孤独感やモヤモヤ。答えのない感情を繊細に描いている『銃』という作品に参加できたこと、とても嬉しく思います」と撮影時のエピソードや心境を明かした。(編集部・小松芙未)
▼以下、コメント全文
【原作・中村文則】
拝見した時、「物凄い映画を観た」と思いました。
僕のデビュー作『銃』は、発表後16年近く経ってもずっと版を重ねている、とても大切な作品です。
奥山プロデューサーや武監督が、これ以上ない形で、この原作を見事な映画にしてくださいました。
主人公のトオル役は天性のものがなければ難しい役ですが、村上さんは完璧で、他の役者の方達も、あまりにも見事で大変驚くことになりました。原作者としても、一映画ファンとしても、この映画の誕生を大変嬉しく思っています。
【企画・製作 奥山和由プロデューサー】
『いつかギラギラする日』『GONIN』から20年以上たち、やっと自分の分身と言える映画をプロデュースできました。村上虹郎はまさに100年に一人の天才。監督の武さんは100年に一人の努力家。そこにこの原作、傑作にならないわけがない。“自分”という精神の生存競争を表現できたという奇跡を感じたのは『ソナチネ』以来です。
【武正晴監督】
2017年夏、中村文則さんの原作が、僕たちスタッフ、キャストを熱狂の撮影現場へと導いてくれた。何よりも、村上虹郎の20歳の夏を撮れたのは、監督冥利に尽きます。原作者の中村さんと初めてお会いした時に『銃』を書いた青春時代についてお話ししてくれた。僕はこの映画を青春映画にしようと決意し、中村さんが『銃』を書いた西高島平を撮影場所と決め込んだ。
【村上虹郎】
このたび映画『銃』の主演を務めさせていただきます。
監督と1ミリのズレもなく同調し築きあげた“私”役という存在を武組のみなさんに切り撮っていただきました。
奥山和由さんプロデュースのもと、中村文則さんの第一子にして宝物のような“銃”を最高の形でみなさまに届ける事ができると思います。ご期待ください。
【広瀬アリス】
今回ヨシカワユウコという役を演じさせていただいて、作品の中では唯一救いの手を差し伸べるような、平和な空気を感じさせてくれる存在でした。
そうであるために、撮影の時は村上虹郎くんとはあまり会話をせず、2人の無言の空間をとても大事にしていました。学生の時感じる孤独感やモヤモヤ。答えのない感情を繊細に描いている『銃』という作品に参加できたこと、とても嬉しく思います。