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27歳の新鋭監督、全編PC画面で展開する異色作を語る

左からアニーシュ・チャガンティ監督、共同脚本家のセブ・オハニアン、俳優のジョン・チョー
左からアニーシュ・チャガンティ監督、共同脚本家のセブ・オハニアン、俳優のジョン・チョー

 映画『スター・トレック』シリーズでヒカル・スールーを演じてきたジョン・チョーが、新作『search/サーチ』(10月26日 日本公開)について、7月25日(現地時間)、ニューヨークのAOL開催イベントで、アニーシュ・チャガンティ監督、共同脚本家セブ・オハニアンと共に語った。

【作品写真】全編PC画面!『search/サーチ』ポスター画像

 本作は、行方不明となった娘を探すため、父親が娘のSNSを頼りに捜索を試みるさまを描くサスペンススリラー。高校生の娘が、突如姿を消してしまったデヴィッド(ジョン)は、警察に捜索願を出すも、捜査が難航したことから、娘のPCを通して彼女のSNSにアクセスを試みる。だが、画面に映し出された彼女は、デヴィッドが見たこともない姿だった。今作で長編監督デビューを果たしたチャガンティ監督がメガホンを取った。

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 本作の脚本を執筆する機会を与えられたとき、チャガンティ監督と共同脚本家のセブは、あまり乗り気ではなかったという。「これまでコンピューターのスクリーンを中心に展開する映画を観てきて、もちろん気に入った作品もあったけれど、それらと似たようなことはやりたくなかったんだ。そうなると、全くの白紙状態から始めなければいけないことになる。それがわかっていたからね」とセブ。彼らは二人で脚本とは別のルールを決め、トリートメント(物語の概要)と脚本を含めたScriptmentというものを完成させ、俳優やスタッフにそれを読んでもらうことにしたそうだ。

 こうして、脚本が完成した後、チャガンティ監督が最初に雇ったスタッフは編集者だった。「今作の撮影を開始する前に、映画を作ってみては? とセブが言い出したんだ。映画内には、二つのカメラが使われていて、一つはSkypeカメラを通した映像やインターネットの世界の映像、それに、われわれがそれらをフレームするためのカメラがあって、それらすべてがうまく起動するために、7週間前に編集者を集め、事前にわれわれが映像化したものをスクリーン・キャプチャーして、ラフなバージョン(映画)を作ったんだ」。その映像では、監督が父親、娘、母親、娘の友人まで全員演じていたそうだ。

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 事前準備がこれだけ綿密だっただけに、演技はかなり制限されたのではないだろうか。「確かに時々、フラストレーションを感じたけれど、ほとんどワンアングルで撮られているから、(俳優として)挑戦する部分もあったよ。特定のアングルの中で、さまざまな表情をすることに徹することができたんだ」とジョン。前のめりになったり、後ろにのけぞったりする際には、(小型カメラによる)Depth(被写界深度)が意味を持つようになり、通常の映画よりもドラマチックに描かれていると説明した。映画内では父親デヴィッドによるこの苦悩の表情が、子を思う親の心情として強く伝わってくる。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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