「スパイダーマン」新作ゲーム、徹底したストーリー作りの裏側
マーベルの人気キャラクター、スパイダーマンの活躍を描くPS4用ソフト「Marvel’s Spider-Man」が9月7日に発売となる。本作のために制作された完全オリジナルストーリー誕生の裏側について、開発元のインソムニアック・ゲームズでコミュニティディレクターを務めるジェームズ・スティーヴンソン氏が明かした。
今回、“全く新しいスパイダーマンのゲーム”を制作することにこだわったというジェームズ氏。コミックライターのブライアン・マイケル・ベンディスが手掛けた「アルティメット・スパイダーマン(原題)/ Ultimate Spider-Man」(1960年代から続いたコミックの世界観を、一から作り直した作品)のように、長年描かれてきたキャラクターにオリジナリティーを追加したゲームを制作しようと試行錯誤を重ねたという。
「マーベルは素晴らしいコミックシリーズを作り上げているので、そこからキャラクターに関するアイデアや思考を参考にしました」と話す通り、ジェームズ氏はストーリー制作にあたり、スパイダーマンに関連するコミック・アニメ・映画を研究。マーベルゲームスや、ソニー・インタラクティブエンタテインメントと何度も話し合いの場を設けた。その中で、マーベルゲームスのクリエイティブディレクター、ビル・ローズマン氏からの言葉がストーリー制作に大きく影響を与えたという。「ビルは“スパイダーマンとピーター・パーカーの世界が衝突した時、最も素晴らしいストーリーが生まれる”と言っていました。彼の言葉は今回のプロジェクトと大きく重なっているのです」
ゲーム内で、スパイダーマンとピーターの物語を同時に展開することに苦戦したというジェームズ氏は「大いなる力には、大いなる責任が伴う」という原作の名言を例えに、プレッシャーの高さを表現。それでも、原作のファンを満足させながらも、スパイダーマンの世界を知らないプレイヤーにも楽しんでもらえるようストーリーを構築したという。
「原作ファンのため、コミックを参考に設定を作りました。また同時に、このゲームをスパイダーマンの世界に入るきっかけとなる作品に位置付けたかった。映画やコミックを見ていなくても、新たなストーリーを体験してもらえるようにしたかったのです」
マーベルファンを喜ばせるための試みとして、ゲーム内にはアベンジャーズタワーやドクター・ストレンジの館、『ブラックパンサー』のワカンダ大使館など他のマーベルヒーローに関連する建物が登場する。ジェームズ氏は、本作の舞台を「マーベルの世界にあるニューヨーク」と表現。彼らの存在を匂わせる建物を登場させる趣向を凝らした演出は、本人も納得がいく取り組みだったという。
幼少期からスパイダーマンの世界観に引き込まれたというジェームズ氏。中でもサム・ライミ監督が手掛けた『スパイダーマン』が印象的だそうで、「公開当初の日曜日だったのですが、劇場は満員で。一つ遅い回で鑑賞しようとしたのですが、それも満員に近くて、結局劇場の最後列で映画を観ました」と当時を回顧。「このゲームをプレイした人が『こんなに素晴らしいヒーローのゲームも作れるんだ』と思ってくれることを願っています」と期待を寄せた。(編集部・倉本拓弥)
「Marvel’s Spider-Man」は9月7日発売 対応機種:PlayStation(R)4、PlayStation(R)4 Pro 希望小売価格:6,900円+税