マーベルコミック編集者から見た女性ヒーローの進化
『アベンジャーズ』シリーズのブラック・ウィドウや、単独作品の公開が控えるキャプテン・マーベルなど、映画でも大活躍するマーベルの女性ヒーローたち。原作コミックにおける彼女たちの変化について、マーベルコミックでコンテンツ&キャラクター開発を担当するサナ・アマナットが、ニューヨークの本社で語った。
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マーベルに入社して9年目となるサナは、イスラム教徒のスーパーヒロイン、ミズ・マーベルを誕生させた編集者。ホワイトハウスでオバマ前大統領に面会した経験もあり「ホワイトハウスに行って彼にコミックをプレゼントして、それを紹介しました。あれは最高でした」と振り返る。
彼女がマーベルですごした約10年だけでも、マーベルの女性キャラクターは大きな進化をしてきたという。「以前から女性キャラは存在したし、人気は高かったけど、女性ヒーローのコミックはより販売部数が伸びるようになったし、女性しか読まないという作品も増えてきました。ここが、この約10年間における女性スーパーヒーローの大きな違いです」
サナいわく、その変化は女性たちのコスチュームにも表れている。かつて女性ヒーローは、伝統的にメール・ゲイズ(Male Gaze=女性を性対象として捉える男性視点のこと)に基づいた、肌を露出した衣装を着ることが多かったというが、パワフルで美しくも「そこまで見せる必要はないんじゃないか?」という女性読者の思いを反映した衣装へと進化を遂げた。
「みんなが共感できる、とても強くてパワフルなルックのキャラクターを創り上げないといけないけど、全身を見せる必要はありません。かといって、女性は常に服を着ていないといけない、と言っているわけでもありません。そこは問題じゃないんです。それよりも、セクシーとセクシャライズ(性対象に見える過度なセクシー)を区別することが大切なんです」
また、女性や男性にかかわらず、自分たちが生み出すマーベルヒーローについて「すべてのヒーローたちはみんな異なっています。このことが、世界は実際にどう見えるのかということを表していると私は心から信じています。彼らの誰もがちょっと面白くて、ユニークで、不器用で、バカで、愛しい面があります」と彼らに込めたメッセージを語ったサナ。読者に向けて「誰もがパワフルになれるし、独自のパワーを見つけることができると信じてほしい。全ては自分自身の内側を見つめるということ。自分以外のなにかそうではないイメージ、そうではないはずのイメージと自分を比較するということではなくね」と呼びかけた。(編集部・入倉功一)
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