「ゲーム・オブ・スローンズ」ティリオン俳優、エル・ファニングと共演の主演作を語る
今年のサンダンス映画祭で審査員賞を獲得した話題作『アイ・シンク・ウィアー・アローン・ナウ(原題) / I Think We’re Alone Now』について、リード・モラーノ監督と俳優のピーター・ディンクレイジが、9月13日(現地時間)、ニューヨークのAOL開催イベントで語った。
本作の舞台は、街中に遺体が散乱した、人類が死滅しかかっている世界。自分一人だけが生き残っていると信じていたデル(ピーター)は、もう一人の生き残りの女性グレース(エル・ファニング)に遭遇したことで、彼だけだった世界が崩れていくことになるというSF調の作品。長年撮影監督を務め、人気ドラマ「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」でも監督を務めたリード・モラーノがメガホンを取った。
「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」も、今作と同様に近未来のディストピアの世界が描かれているが、「トーンも異なっているし、どこか不思議と今作の方が現実に起こり得るシナリオ構成になっていると思う」とモラーノ監督は相違点を語る。「わたし自身は、どんなストーリーであっても、人間の振る舞いや行動を観察できるようなストーリーが好きなの。今作では特に二人の全く異なった心理を研究できる点が興味深かったし、人類が滅亡しかけている世界でどうすれば良いのか、どうやって人とつながれるのか、という点にも惹かれたわね。何よりもこれまで描かれてきた世紀末もの(荒廃した世界で人々が対立するさまなどを描いた作品)とは異なっていた点が良かったわ」。
主人公のデルが一人で居ることを好むことについて、演じたピーターは、「誰もがデルのような気持ちなったことはあると思うんだ。でも誰も寂しい思いはしたくはないはずだ。それをデルは、(劇中で)理解し始めていくんだ。僕らが、ここニューヨークに住んでいるのは、何百万人もの人と群れて生きることを、大半は楽しんでいるからさ」と持論を展開。また、今作には、『ロスト・イン・トランスレーション』や『ハロルドとモード/少年は虹を渡る』などをほうふつとさせる、ありえない二人が交錯する、型にはまっていないラブストーリーが存在すると説明した。映画の世界では相手に適した人物と結ばれるが、現実の世界では、そうでないことが多い。そんなリアルな点が気に入ったそうだ。
製作も務めているピーターは、『LOW DOWN ロウダウン』で共演したエルを今作で起用した理由を、エル自身が演じたグレースというキャラクターにとても似ているからだという。「彼女は太陽の光のような存在で、25歳も年が離れているけど、一緒にいてとても楽しいんだ。これはモラーノ監督とも話したんだけど、もし僕と年齢の近い女優だったら、デルとも共通点が多くなって、都合の良いキャラクターになってしまっていたと思うんだ。若い女優を起用することで、二人のキャラクター(デルとグレース)が都合の良い関係ではなくなる、そんな設定にしたかったんだ」。また、才能のあるエルと再び撮影時間を共にしたかったとも語った。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)