岡田准一、主演作『散り椿』でカメラも回す
俳優の岡田准一が19日、有楽町朝日ホールで行われた映画『散り椿』のシニア夫婦限定試写会舞台あいさつに、共演者の西島秀俊、木村大作監督と出席、カメラマンとしても本編で参加したことを明かした。
夫婦愛について描いた本作にちなみ、この日は、60歳以上の夫婦を対象に試写を実施。人生の先輩たちを前にした岡田は、「先ほど緊張しますと言ったら、大作さんが『みんな(79歳の)俺より年下だからな』と言っていて。それに救われています」とあいさつ。そんな木村監督のことを「伝説の方だし、大先輩だし、師であり、親であり」と語る岡田は、「今回は大作さんのエネルギーに飲み込まれるのではなく、一番の理解者として戦えたらいいなと思いました」と撮影を振り返った。
本編には、本編では、木村監督自身が斬られ役として出演しているそうで、そのシーンを撮影したのは岡田自身。「僕に『俺が死ぬところを撮れ』というんですよ。そういうロマンチックなことを言ってくれる人で。年は離れているので、偉そうに聞こえるかもしれませんが、心の友になれたらいいなと思いました」と明かすと、会場から感嘆の声がもれる。
さらに木村監督は「その時の西島さんのアップも彼(岡田)が撮っています」と補足。「ただ豪雨のシーンですからね。ほとんど表情が見えないし、血のりがかかっているんですけど、それもほとんど映っていませんでしたね。テストをやったときに岡田さんがルーペ(カメラのファインダー)が見えないと言うので、『心の目で見ろ!』と言ったんです」と一気にまくしたてると、会場からは拍手がわき起こった。
本作は第42回モントリオール世界映画祭で、グランプリに次ぐ審査員特別賞を獲得。賞状を手にした岡田は、「大作さんが世界で評価されるというか、木村大作伝説を作る力になれたらうれしいなと思います」と笑顔。また西島も、木村監督に映画祭行きをすすめたが「いいよ、めんどくさいから。タバコも吸えないし」と言われたことを告白しつつ「でも本当にうれしいです」と続けた。
俳優陣からの祝福に笑顔を見せた木村監督は「腹の中ではどうせ取るなら銀じゃなくて金を取りたいと思っていた。僕がもしモントリオールに行っていたら金を取っていたかもしれませんね」と木村節全開で会場を笑いに包みながら「次の機会があったら、金を狙いたいと思います」と観客に宣言した。
直木賞作家・葉室麟の同名小説を実写化した本作は、妻の最期の願いを胸に藩の不正や権力に立ち向かっていく浪人の姿を描き出す時代劇。(取材・文:壬生智裕)
映画『散り椿』は9月28日より全国公開