『半世界』阪本順治監督、観客賞で肩の荷おりた 稲垣吾郎主演の“プレッシャー”明かす
第31回東京国際映画祭
2日、31回東京国際映画祭のアウォード・セレモニーが行われ、稲垣吾郎が主演し、阪本順治が監督を務めた映画『半世界』(2019年2月公開)が観客賞を受賞。ステージでトロフィーを受け取った阪本監督が、ステージ上、そしてその後に行われた受賞者記者会見で喜びを語った。
ステージに上がった阪本監督は「(観客賞受賞が)不意打ちでした」と驚きを明かしつつ「父の遺言でスピーチは短めにと言われております」と笑いを誘うと「たくさんの方が投票してくださったおかげです。みんなでお祝いします。ありがとうございます」と感謝した。
その後に行われた記者会見にやってきた阪本監督は会見が始まるまでの待ち時間に「飲んでるんですよ」とご機嫌な様子。「コンペティション部門に選ばれたからには『グランプリ』というのもチラッと脳裏には浮かんだ」としつつ、「観客賞というものに憧れがあったんです。海外の映画祭に参加した時に『観客賞がうらやましい』と思っていたので、とても嬉しかったです」と続けた。
また、本作の主演は稲垣吾郎。「あとは肩の荷がおりました。僕の方から稲垣くんサイドに『僕でよければ』と言った以上、つくる映画を面白い作品にしないといけないという責任は重いので。こういう華やかな場所で初上映ができて観客賞ももらえて、肩の荷をおろしていました」とコメントした。
そして稲垣以外の長谷川博己、池脇千鶴、渋川清彦についても言及。「みなさん初めての俳優さんで、僕にとってはすごく若い俳優さんたち。彼らと気持ちを共有しながら映画を撮る中で『阪本ってけっこう本数多いけどどうなの?』って彼らが現場にきたような気分があって(笑)」と笑わせ、「(観客賞を受賞して)彼らに『大丈夫だったでしょう?』と言いたいです。でも今日は、彼らやスタッフと喜びを分かち合うのではなく、僕は僕のために乾杯します!」と高らかに宣言していた。
会見の終盤では、この日に訃報が伝えられた女優の江波杏子さんについての質問が飛んだ。江波さんが出演した『行きずりの街』『KT』でメガホンを取っていた阪本監督は、撮影現場での江波さんとの交流を振り返りつつ、「演出している途中もですが、撮影の合間などちょっとした時間に話していたことを思い出します。凛とされていて、役柄に対して度胸のある方でした」と故人を偲んでいた。
稲垣は『半世界』の観客賞受賞に「この映画をご覧になった皆さんが気に入ってくださり大変うれしく思います。公開に向けて大きな励みになります。ありがとうございました」というコメントを寄せている。(編集部・海江田宗)