J・アイゼンバーグ、NY中を歩いた男のドキュメンタリーに惚れ込んだ理由を語る
映画『ゾンビランド』『ソーシャル・ネットワーク』などでおなじみの俳優ジェシー・アイゼンバーグが、製作総指揮を務めた注目のドキュメンタリー映画『ザ・ワールド・ビフォア・ユア・フィート(原題) / The World Before Your Feet』について、マット・グリーン、ジェレミー・ワークマン監督らと共に、11月20日(現地時間)、ニューヨークのAOL開催イベントで語った。
本作は、ニューヨーク市内にある5つの区、ブロンクス、クイーンズ、マンハッタン、ブルックリン、スタッテン・アイランドのストリート全て合わせて6,000マイル、さらにビーチ沿い、公園、橋も含めると8,000マイルもある距離を、6年間かけて歩くマット・グリーンの挑戦を追ったドキュメンタリー。マットは、人種のるつぼであるこの大都市のさまざまな文化、歴史的な建造物、同時多発テロで亡くなった死者をたたえるモニュメントなどを捉えながら、人々と話をしたり、写真に収めたりしながらニューヨークを闊歩(かっぽ)していく。
歩き始めて7年目に突入した現時点では、ミッションはまだ終わっていないというマット。「そうなんだ。まだ歩いている最中だよ。まだ数百マイル残っているが、おそらく(8,000マイルのうち)95%ぐらいは歩いたよ」と、すでに驚きの距離を歩いてきたことを明かした。また、まもなくその旅路を終えることへの寂しさを感じていないのかと聞かれると「ちょっと不思議な感じだけれど、長い年月をかけてきたこの大きなプロジェクトのフィニッシュラインに到達していることに興奮しているね。もっとも、次に僕が何をするかわからないが、ある意味、何かしらこのプロジェクトに続くものになると思っているよ」と答えた。
ワークマン監督はそんなマットと10年くらい前に知り合ったようで、「彼が最初にクレイジーな距離を歩き出したのは、アメリカを横断するプロジェクトだったね。僕らはその頃から友達で、僕はいつもカメラを持ち出して、彼を追っかけてきたんだ。街を歩くという単純なことを通して、彼はとても興味深いことを発見したり、何か(文化、人が残した建造物や遺産などを通して)テーマのようなものを浮き彫りにしながら、ユニークな観点を僕に見せてくれたりしたからだ。実際に、僕が本格的に撮影を始めたのは3年前で、全部合わせると約500時間もの映像を撮影してきたよ」と明かし、日によっては全く使えない映像もあったため、このような長い期間、長時間の撮影に至ったと付け加えた。
本作に製作総指揮として関わったジェシーは、そのきっかけをワークマン監督から編集中の作品が送られてきたことだったと振り返る。「彼はそのとき、異なった観点を持った映画業界の人のアドバイスを求めていたんだ。僕はそんなアドバイスをしたことがなかったし、作品にも興味が無かったから、5分くらい鑑賞して、何か良い言葉を返信すれば良いくらいに思っていたんだ」だが、実際に作品を見始めてみると、最後まで鑑賞しただけでなく、同じ日に2度も鑑賞してしまったという。
「最初に鑑賞したときは、僕自身がマットに似ていたことや、同様な世界観を持っていたり、同様な教育を経ていたりして、とても共感した。だから2度目は、僕の妻や友人、両親にも見せたんだ。すると誰もが、それぞれの観点からマットの行っていることに個人的な反応をしていたんだ。僕の両親なんかは、マットを作家ジャック・ケルアックのような人物とも称したくらいだよ」あらゆる人々が異なった視点からマットとニューヨークを共有していることに食指が動いたそうだ。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)