綾野剛×松田龍平で芥川賞受賞作「影裏」映画化
第157回芥川賞を受賞した沼田真佑の小説「影裏(えいり)」が主演・綾野剛、共演・松田龍平で実写映画化、2020年に公開されることが明らかになった。映画『るろうに剣心』シリーズ、NHK大河ドラマ「龍馬伝」などの大友啓史が監督を務める。
舞台は、大友監督自身が生まれ育った岩手県。主人公の今野(綾野)は転勤先の岩手で出会った同僚の日浅(松田)に心を許し、遅れてやってきた青春の日々を過ごす。しかし、日浅は突如会社を辞めてしまい、その後再会しても二人は以前のような距離を取り戻せず疎遠になっていた。そんななか、今野は日浅が行方不明であることを知り、行方を探すうちに彼の裏の顔を知ることになる。
撮影は今年7・8月、猛暑のなか岩手県でのオールロケが敢行された。大友監督が猛烈に「撮りたかった俳優」だという綾野と松田は、意外にも本作が初共演であり、綾野は「松田龍平さんが日浅であったからこそ、私は私で居られた」と松田への感謝を語っている。
あわせて公開された写真には、灰皿やグラスののったテーブルを間に挟んで向き合う綾野と松田の姿が。日本アカデミー賞をはじめ国内の数々の賞に輝いている実力派の二人が、初共演でどのような化学反応をみせるのか期待が高まる。(編集部・吉田唯)
<コメント全文>
■綾野剛
これほど愛おしく苦しく刹那な人を生きたことがありません。
私の中で静かに生きていた感情を、今野秋一は呼び覚ましてくれました。
そして日浅は、今野の中で生きる微かな影裏を見つけてくれた。そして照らしてくれた。
私はあなたを忘れません。
影裏で生きる全ての人々に出会えた事、大友監督の眼差し、各部署の愛、松田龍平さんが日浅であったからこそ、私は私で居られた。心から感謝します。
■松田龍平
大友組のもと、「影裏」で日浅を演じました。
表があればもちろん裏もあって。
大抵の人は裏は見せないもので。
人によっては裏表なんてものは大して差がないのかもしれませんが。
まだワンシーンだけ撮影が残っていて、終わってないのですが、どんな映画になるのか、とても楽しみです
■大友啓史監督
原作を読んだ時、静かな文章と行間に宿る巨大なエモーションを感じ、すぐに映像化したいと思いました。震災以前、震災以降。変わらないものと変わりゆくもの。東京オリンピックの熱狂と喧騒に追いやられる前に、寡黙な東北人の身体の奥底に潜む感情に、真正面から触れておきたい。熱烈に「撮りたかった」二人の俳優、綾野剛、松田龍平両氏との地元・盛岡での濃密な撮影は、まるで東北の短い夏のお祭りのように、強烈に脳裏に沁みついています。良い作品に仕上げたいと思います。