松たか子、映画ラッシュ 来年は「修行の年」
女優の松たか子が、『告白』以来、約8年ぶりに中島哲也監督とタッグを組んだ映画『来る』(12月7日公開)で、日本最強の霊媒師という見た目も強烈なキャラクターに挑戦。本作で初共演を果たした岡田准一との絡みに「とても刺激的だった」と笑顔を見せる松が、ハードだった撮影現場を振り返るとともに、映画5本、舞台1本と出演作ラッシュの今年後半から来年にかけての思いを語った。
本作は、第22回日本ホラー小説大賞に輝いた澤村伊智の「ぼぎわんが、来る」を映画化したホラー。妻夫木聡、黒木華演じる若夫婦に“謎の訪問者”の脅威が迫る中、オカルトライターの野崎(岡田)、キャバ嬢霊媒師の真琴(小松菜奈)、そしてその姉の謎めいた霊媒師・琴子(松)が、姿の見えない強敵に立ち向かう。
久々の中島組で、日本最強の霊媒師という難役をエキセントリックに演じた松。「心を空っぽにして現場に臨んだ」と言うが、鬼才が満を持して撮るホラー映画だけに「どんなことがあっても、そこに立ち続けなければならないという『覚悟』は必要だった」と胸の内を明かす。
特に初共演の岡田(野崎役)を殴り飛ばすシーンについては、「今だから告白しますが、このシーンをどうしてもやりたかったので出演を決意しました」と冗談めかしながら、「爽快でした(笑)」とまんざらでもない表情。ちなみに、このシーンのアクション指導をしたのは、岡田本人。格闘技のインストラクター資格を複数持つ彼のアドバイスの賜物か、松が繰り出すキレのある一撃は、それだけでも一見の価値ありだ。
今後も『ハード・コア』(上映中)、『マスカレード・ホテル』(2019年1月18日公開)など出演作が相次ぎ、来年以降は『四月物語』以来20年ぶりに岩井俊二監督とタッグを組む主演作『Last Letter』(2019年公開)のほか、役所広司主演の『峠 最後のサムライ』(2020年公開)も控えるなど芝居への意欲を見せる。
大ヒット映画『アナと雪の女王』の劇中歌「レットイットゴー~ありのままで~」日本語版や、2017年~2018年放送の朝ドラ「わろてんか」の主題歌「明日はどこから」など歌手としても成功しているが、「気付いたら映画のお仕事でいっぱいになっていて」と明かす。中島監督、岩井監督との再タッグや初めて組む監督とのチャレンジに「たまたまこういう素晴らしい機会を与えていただいたので、今年から来年にかけては、お芝居を改めて勉強し直そう、という気持ちになっています。苦労してこなかったわけではないのですが、来年の舞台が終わるまでは、『修行』のつもりでがんばりたいです」と意を新たに。
さらに、「わたしは昔から『こうなりたい!』とか、野望を持ったことがないんです。これまでいろいろな監督との出会いに恵まれて、いろいろな世界に連れて行っていただいただけ、という気がして……」とあくまで謙虚な姿勢。「ただ、これを一生懸命やっておけば、次の何かにつながるはず、という直感的なものは常にあったので、これからもそういうものは大事にしていきたいですね。中島監督に『今さら修行? もう遅いよ』って笑われそうですが、自分の気持ちに正直でありたいです」とすがすがしい表情を見せた。(取材・文:坂田正樹)