徹底的!カンバーバッチ、意地悪なグリンチの声を作り上げるまで
テレビドラマ「SHERLOCK(シャーロック)」などで知られる俳優のベネディクト・カンバーバッチがインタビューに応じ、どのようにしてアニメーション映画『グリンチ』の意地悪な主人公の声を作り上げていったのかを明かした。
ドクター・スースの絵本を原作に、クリスマスが大嫌いなひねくれ者グリンチが、人々からクリスマスを盗んでしまおうと奔走するさまを描いた本作。『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』では演じた天才数学者アラン・チューリングについて映画の公開後もリサーチを続けたり、『ホビット』シリーズで竜を演じることになったら爬虫類を観察するため動物園に赴いたりと、徹底した役づくりで知られるカンバーバッチは本作でも全力で、「まず、一人で座ってグリンチとは何だろうということを、原作を基にじっくり考えてみた」と振り返る。
その後『ミニオンズ』で知られるイルミネーション・エンターテインメントのアーティストたちと会って作品のテーマについて話し合ったという。「双方から働きかけるプロセスだった。僕がやったことがアニメーターに影響を与えたり、アニメーターのやることが僕に影響を与えたりした。そうしたやり取りの中で脚本が変更され、ある箇所が削除されたり、追加されたりして、常に進化していったんだ」と2年をかけた収録でグリンチの声とキャラクターを作り上げていった。
「最初僕はグリンチはすごくひねくれていると感じて、彼の声は喉が締め付けられているような、ちょっと動物的な感じに違いないというアイデアから始めた。だがその後、少し自由にやってみようということになり、高音から低音まで音域を広げて、グリンチであることの喜びの表現をより掘り下げていくべきだと気付いたんだ。彼は素晴らしい人生を送っていて、自分でもとても気に入っている。クリスマスは彼にとって大きな障害となったが、それを盗もうと決めて計画を立てる時、彼は楽しんでもいるんだからね」
「(声の演技では)何度でも繰り返してやることが可能だ。信頼できるコラボレーターのために、一つでも多くの選択肢を提供したいと思うから」というカンバーバッチは志願してテイクを重ね、アニメーションが固まった後でも、グリンチの口の動きが見えない箇所では「何か付け加えることができるのではないか」と探究の手を緩めなかった。
「他にも大きなプロジェクトを抱えていたが、オフの日を利用して、何とか毎月、もしくは隔月で収録した。2週間前になって突然スタジオに来てほしいと言われたりするから『何だよ、お休みの途中なのに』とグリンチっぽく(不機嫌に)なってしまうこともあった(笑)。それでも始まって5分もしないうちにとても楽しくなったね。それは一緒に仕事をする人々や、そのプロセスのお陰だと思うんだ」とアニメーターたちとのコラボである声優の仕事を楽しんだという。「相応しいプロジェクトであれば、ぜひまたこのような作品を手掛けたいと思っているよ」と次なるアニメーション作品にも乗り気だった。(編集部・市川遥)
映画『グリンチ』は12月14日より全国公開