細田守監督『未来のミライ』ゴールデン・グローブ賞ノミネートに驚き
アニメーション映画『未来のミライ』の韓国公開キャンペーンのため細田守監督が訪韓。27日、ソウル市内の映画館で行われたマスコミ向け試写会後の質疑応答で、第76回ゴールデン・グローブ賞アニメーション作品賞ノミネートに「ある意味、ハリウッド作品とは真逆の存在と考えていただけに、選ばれたことを非常に驚いていますし、光栄に思っています」と喜びを語った。
生まれたばかりの妹にかかりきりの両親に困惑する、4歳児のくんちゃん(声:上白石萌歌)が、未来からやってきた妹(声:黒木華)と出会い、不思議な出来事に遭遇していくさまを描く本作。主人公の両親は、父親が家事を担当、母親が働きに出るという設定だが、会見では儒教思想が根強く残る韓国らしく、家族の在り方に質問が集中した。
細田監督は、「近代までは家族の中で父母の役割に確固たるものがありました。しかしながら、現代の家族は型を押し付られるものではなく、個人が一人一人独立した存在として家族と関わり、共同体としての家族を見出していくもの」と持論を展開した。
くんちゃんの家族のモデルは細田監督自身の家族だとファンの間では知られているが、家族が本作を観た感想を訊かれると「子どもは自分の話でもあるので恥ずかしがるかと思いきや、純粋に楽しんでくれました。妻からは『あなたが子どもたちをどれほど愛しているかよくわかった』と言われて嬉しかったです」と妻子の反応に感激した様子。
なお、本作は第76回ゴールデン・グローブ賞アニメーション作品賞に、日本の作品として初めてノミネートされた。細田監督は、「非常に驚きました。ハリウッド作品は何でもヒーロー化してしまいます。大恋愛、大事件、大災害などがあるわけでなく、子供の目を通じて見た日常を描いているだけ。ある意味、ハリウッド作品とは真逆の存在と考えていただけに、選ばれたことを非常に驚いていますし、光栄に思っています」と心境を明かしている。
『時をかける少女』(2006)以来、細田監督の劇場作品はすべて韓国で公開されている。「日本以外で僕の作品を真っ先に紹介してくれたのが韓国。新作を作るたびに韓国のファンに観てもらえるのは嬉しく、おかげ創作の力になっています」と感謝を述べていた。映画『未来のミライ』は、2019年1月16日より韓国で公開される。(取材・文:土田真樹)