時代劇とゾンビスリラーの融合 Netflix「キングダム」監督・脚本家が明かす製作秘話
朝鮮王朝に蔓延した謎の疫病の恐怖と王宮の権力闘争を描いたNetflixオリジナルドラマ「キングダム」でメガホンを取ったキム・ソンフン監督と、脚本家のキム・ウンヒが製作秘話を明かした。
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本作の舞台は、感染者を化け物へと変える疫病が蔓延した李氏王朝。王が病に倒れたといううわさが国を揺るがす中、王宮に潜む陰謀と野心から民衆を救うため、主人公の世子(チュ・ジフン)が旅へと繰り出す。
Netflixというプラットフォームで、時代劇とゾンビスリラーを組み合わせた作品に挑んだソンフン監督とウンヒ。脚本を執筆したウンヒは「さまざまな文化の人々に観てもらうことになるため、どのように受け入れられるのか興味があります」と語りつつ、世界中の視聴者に作品を気に入ってもらえるのかという不安も抱いていたと明かす。
一方のソンフン監督は、挑戦したことのないジャンルや作品のフォーマットなど、プロジェクトの“新しさ”に魅力を感じていたという。これまで、『最後まで行く』『トンネル 闇に鎖(とざ)された男』といったサスペンスを手掛けてきた監督は、ゾンビ映画の巨匠ジョージ・A・ロメロ監督の作品や、海外ドラマ「ウォーキング・デッド」などからゾンビ描写のインスピレーションを受けつつ、「『キングダム』を通して、(ゾンビいうキャラクターが)再創造されています」と新たなゾンビ像が誕生したと語る。実際に本作では、ゾンビ誕生の起源やゾンビに対する民衆の反応などから、他作品にはないユニークな描写を多数確認することができる。
対してウンヒは、特定の作品を参考にしたのではなく、これまで鑑賞してきた映画から蓄積した感性を詰め込み、脚本を仕上げたという。「ヒューマンドラマやメロドラマ、サスペンスやスリラーなど、私の中に蓄積された全ての要素をミックスして、新たなものを作り出しました。私の大好きな『Love Letter』(中山美穂主演のラブロマンス)といった日本映画もその一つです。執筆にあたって、それらの作品の要素を直接取り入れたわけではありませんが、私が観て感じた感情の全てが反映されていると思います」。
すでに第2シーズンの製作も決定している本作。全世界配信を控えたウンフは、韓国文化を知らない視聴者だけでなく、文化に精通した人々も新たな発見に出会えると強調する。「私自身、韓国の歴史ドラマにおける建築や衣装のことをよく知っているつもりだったものの、実は、まだ知らない新しい“美”があることに気づきました。そうした自分の発見した新しい“美”を、韓国文化になじみのない方々や、新しい視聴者に向けて届けたいと思っています」と自信をのぞかせた。(取材・文:編集部・倉本拓弥)
Netflixオリジナルシリーズ「キングダム」は1月25日より独占配信開始