野村萬斎、ゴジラをたとえにぐうたら社員の変化アピール
狂言師の野村萬斎が1日、都内で行われた映画『七つの会議』(上映中)公開初日舞台あいさつに登壇。原作者の池井戸潤からサプライズの手紙が贈られる場面では原作とかけ離れた主人公像が話題に上がり、野村から「変な奴が第一次形態、第二次形態とゴジラみたいに……」と自身がモーションキャプチャで演じた2016年公開の映画『シン・ゴジラ』を彷彿とさせる発言も飛び出した。この日は共演の香川照之、及川光博、片岡愛之助、朝倉あき、吉田羊、北大路欣也、福澤克雄監督も来場した。
本作は、「半沢直樹」「下町ロケット」などで知られる作家・池井戸潤の同名小説を映画化。ぐうたら社員の八角民夫(野村)が年下の上司のパワハラを告発したことをきっかけに、社を揺るがす波乱を起こしていくさまをスリリングに活写する。
初日を迎え、野村は「池井戸先生と福澤監督のゴールデンコンビの作品で、ファンの目も肥えていらっしゃるし、前作との比較も含めて非常に緊張した数か月でしたが、いいお知らせ(興行収入20億円突破を狙える大ヒットスタート)も来ているのでホッとしています」と安堵の表情。至近距離でにらみ合ったり、長ぜりふや迫力ある表情の芝居など、「これか!」と思える池井戸×福澤作品を堪能できたことも喜んだ。
そんな野村に池井戸からサプライズで手紙が届けられ、そこには座長として同作を背負ってくれたことに対する感謝がつづられていた。手紙には「映画・八角、この姿は原作のイメージとはかけ離れたもので、きっと萬斎さんは小説を読んでいないに違いないと勝手に決めつけていました」ともあり、野村を苦笑いさせる場面も。ところが、野村はきちんと小説を読み込んだうえで八角を作り上げており、それを対談の際に知ったという池井戸は、「驚きました。原作での役柄を知った上で、あの八角像を作られたのは、天賦の才能以外の何物でもありません」と舌を巻いた。
野村は「身に余るお褒めの言葉を頂戴しまして恐縮至極でございます」と嬉しさをにじませるとともに、「変な奴が第一次形態、第二次形態とゴジラみたいに変わっていくことや、ずれた目線が本物を見ているということを心がけました。それは小説から感じ取っていました」と小説あってのアプローチを強調した。(取材:錦怜那)