竹内涼真、ハリウッド映画の現場で得た刺激
昨年開催されたサッカーW杯ロシア大会のスペシャルサポーターを務め、サッカー経験者ならではの的確なコメントが評判になった竹内涼真。そんな彼が、吹き替えに初挑戦したのが映画『名探偵ピカチュウ』。ポケモンにも詳しい彼は、本作の日本語吹き替え版で主人公ティムの声を担当しただけでなく、本編でカメオ出演も果たしている。本作をはじめ、彼しかできない仕事が続いているが、その裏には実に彼らしいこだわりがあった。
『名探偵ピカチュウ』で初の吹き替えに挑んだ竹内は、普段は自分で洋画を楽しむ時も字幕版に慣れ親しんでおり、なじみがなかった吹替に役者としてチャレンジするのは超難関だったよう。「初めてだったので大変でした。初めてだったからこそ、そして小さなころから大好きなポケモンだったからこそ絶対に妥協したくなかったんですよね」という。
ゆくゆくは海外の作品にも出演したいと公言している竹内。本作でのカメオ出演シーンはロンドンで撮影しており、大きな刺激になったようだ。「現場の空気が日本とはまた少し違って、ハッピーで明るかったですね。それから、こだわりがすごい。撮影の仕方、小道具一つにしてもそう。僕の出演シーンだってあんなに短いのにテイクを重ねに重ねて、20カットは撮っていますから。熱量はすごく感じました」
今回はCGのためのグリーンバックでの撮影だったが、海外での貴重な撮影はきっと他作品でも役立つはず。
「CGを駆使した映画のどこが魅力かといえば、観た時の衝撃ですよね。はっと気づいたらもう世界に引き込まれてしまっているあの感覚。本当に存在するんじゃないかと思わせる。それってすごいことだと思います。観客もそうだけど、演技する側のイメージ次第というところもある。実にやりがいがあります。作品が完成した時の感動はひとしおだと思います」と作品の完成が待ちきれない様子だった。
さらに今回の仕事を通じて、竹内は「自分の感性ってすごく狭量で、視野をもっと広げたいと思いました。いろんな人と出会いたい。特に海外の人の思考は僕には思いもよらないもの。日本に留まらず、広く仕事をしていきたいです」と海外進出への思いをより一層強くしたという。
「いろんなお仕事のお話をいただく中で、なんでも時間に追われて惰性でやってしまうことが無いように、一つ一つ丁寧に積み重ねていきたいですね。そうしながらも背伸びをせず、みんなに喜んでもらえるものを突き詰めていきたいです」と今後のビジョンもクリアだ。
作品にとてつもないエネルギーで向き合い、数ではなく、存在感で勝負してきた竹内。シリーズが続くなら、また参加したいと意欲を示した『名探偵ピカチュウ』では声優として、また俳優としてどんなパフォーマンスを披露したのか。誰よりも爽やかで熱い男の挑戦は続く。(取材・文:高山亜紀)
映画『名探偵ピカチュウ』は5月3日より日本先行公開