マイケル・J・フォックス、自身のキャリアとパーキンソン病について語る
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズのマイケル・J・フォックスが、長年の友人であるテレビシリーズ「レスキュー・ミー ~NYの英雄たち」のデニス・リアリーと共に、4月30日(現地時間)、トライベッカ映画祭のトークイベントTribeca Talkに参加し、自身のパーキンソン病や過去の作品について語った。
【作品写真】マイケル・J・フォックスの代表作『バック・トゥ・ザ・フューチャー』
マイケルは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズやテレビシリーズ「ファミリー・タイズ」などでコメディーにおける実力は評価されてきたものの、ドラマ作品ではまだあまり評価されていないとデニスは語る。「僕が企画・主演したドラマ『レスキュー・ミー ~NYの英雄たち』にマイケルは出演してくれたんだ。僕らはそれまで共演したことがなかったんだけど、友人の期間が長いからアドリブだってできると思っていたよ。彼の撮影初日は、シリアスかつドラマチックなシーンで、酒場でマイケルが演じている人物が、僕が演じる主人公に叫んでいるシーンだった。なぜ僕がそのシーンを覚えているかというと、彼の独白を2台ものカメラで捉えていたからだ。完全にその役になりきっていたからね。彼は僕の人気をさらっていってしまうと思ったよ。でも、このようなドラマチックな作品では、マイケルはまだ充分に評価されていないと思う」と述べた。
パーキンソン病を患い始めた頃について、マイケルは「若い頃の僕の演技は、体を使うコメディーに頼ってきた。身体的な速さと間の取り方で笑いをとっていたんだ。でも、パーキンソン病と診断され、意図的に数年間働かなかった。それは、僕がやってきたコメディーができなくなったからだ。(実際にマイケルはパーキンソン病と診断されてから、しばらくはテレビシリーズ『スピン・シティ』に出演していたものの、徐々に身体の自由が利かなくなったことが原因で降板している)だが、パーキンソン病を患ってから気づいたことは、そんなコメディーをやる必要はなく、ドラマの内容に合わせて抑えた演技をすることだった」と答え、その時にドラマ作品への出演を決断したと語った。
マイケルは、「マイケル・J・フォックス パーキンソン病リサーチ財団」の設立後、2001年に、自身が主催するパーキンソン病の募金活動のイベントに参加。デニスが司会を務めたそのイベントでは、マイケルにあるサプライズが用意されていたという。「僕らは2人のサプライズゲストを呼んでいた。まず一人目のゲストは歌手トニー・ベネット、そしてもう一人が元プロボクサーのモハメド・アリ。僕らはマイケルに悟られないよう、アリに舞台裏に潜んでいてもらおうと考えた。ところが、突然PA(プロダクション・アシスタント)が来て、マイケルが舞台裏にタバコを吸いにくると言うんだよ!(慌てた僕らは)なんとアリにビルの管理人が使用するクローゼットに隠れてもらった。彼はそのクローゼットに入る前に、『静かに!』と合図するように僕らに向けて指を立ててたよ。一方、何も知らずにタバコを吸っていたマイケルは、さらにもう一本吸おうとしていて、その状況はまるでシットコム(シチュエーション・コメディー)のようだった(笑)」とデニスは語った。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)