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3時間半ほぼ尻のクローズアップの映画、カンヌで途中退席者が続出…監督「気にしない」

第72回カンヌ国際映画祭

映画『メクトゥーヴ、マイ・ラブ:インターメッツォ(原題)』
映画『メクトゥーヴ、マイ・ラブ:インターメッツォ(原題)』

 現地時間24日、第72回カンヌ国際映画祭でコンペティション部門に出品されている映画『メクトゥーヴ、マイ・ラブ:インターメッツォ(原題) / Mektoub, My Love : Intermezzo』の公式会見が行われ、アブデラティフ・ケシシュ監督が、同作の上映時、途中退席者が続出したことについて口を開いた。

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 『アデル、ブルーは熱い色』で最高賞パルムドールに輝くも、後に大胆なラブシーンの撮影手法をレア・セドゥら主演女優に批判されたことで知られるケシシュ監督。新作は『メクトゥーヴ、マイ・ラブ:カント・ウノ(原題) / Mektoub, My Love: Canto Uno』(日本未公開)の続編で、海辺の故郷の町に戻ってきた若手脚本家のアミン、結婚を数週間後に控えるも他の男の子供を妊娠しているオフェリー、結婚後も彼女と関係を続けたいと思っているトニーをはじめとした男女グループの姿を描くのだが、ストーリーらしいストーリーはない。3時間半の上映時間のうち3時間は大音量の曲が流れるナイトクラブのシーンで、女たちが振り続ける尻がひたすらクローズアップで映し出される。

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 ケシシュ監督はこの狙いを「一番重要だったのは、人生、愛、欲望、音楽、体を祝福すること。映画体験をなるべく自由なものにしたかった」と説明。そのため、これまでに確立された映画のルールを破ることを自分に課したといい、「わたしにとってこれは実験で、審美的にこれまでとは違うことをするという努力そのものだった」と語る。

 性的すぎて不快な部分もあり、多くの人が最後まで観ずに席を立ったことを指摘されるも、ケシシュ監督はこの取り組みが失敗に終わったとは「全く思わない」ときっぱり。「わたしがやろうとしたのは、形式も内容もこれまでとは違うものにするということ。全ての人にそれが受け入れられるとは思わない。だから全く苦にすることはない。全員が全く同じように映画を観る方が恐ろしい。これは、一線を越えることも恐れないとても力強いキャラクターの描写を通して、映画を新しいものにするという試みなんだ」。

 上映時間は「長すぎるかもしれない」と心配になって最後の最後でセリフ部分をカットし、3時間48分から3時間半に減らしたものの、「実際、後悔している。公開時には戻したいと思っている」とのこと。「映画についての先入観を捨てたならば、本作に本当に夢中になれると信じている。わたしは夢中になった。この美しい体、才能を見るのは喜びだったから。わたしは信じられないほど才能ある俳優たちと働いた。この映画について考えるとき、そのことを覚えていてほしい」と全てをさらけ出した俳優たちをたたえていた。(編集部・市川遥)

第72回カンヌ国際映画祭は現地時間5月25日まで開催

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