山寺宏一『アラジン』ジーニーへの熱い思い
数あるディズニーアニメーションの中でも特に高い人気を誇る『アラジン』を実写化した作品のプレミアム吹替版で、アニメ版に続いてジーニー役を担ったのは日本の声優界のトップランナー・山寺宏一。「他の人になってたら嫉妬でたまらなかったと思います(笑)」と話したジーニーへの熱い思いを語った。
『アラジン』の実写化の噂は耳にしていたという山寺。実写化が正式に決まり、ジーニー役がハリウッドスターのウィル・スミスと聞いた時は「前にやったことあるぞ」と思い、吹替版のキャストの行方はかなり気になっていた様子。
「実は(オファーが)こなかったらどうしようという不安の方が、期待よりも大きかったんです。なのでオファーをいただいてよかったなとホッと胸をなでおろしました。そのくらい大切なキャラクターであり、作品なので」
1992年のアニメーションの吹替版を観た人には山寺の印象は強烈に残っていることだろう。本家のロビン・ウィリアムズに負けず劣らずの変幻自在の演技でキャラクターに命を吹き込んで多くのファンを虜にし、今作への山寺の起用が発表された際にはファンから安堵の声すら上がっていた。今回の吹替えについて山寺は説明する。
「今回はあくまでもウィル・スミスが演じるジーニーの吹替えです。映像をしっかりと見て、ウィル・スミスの声をしっかりと聞いて、それに寄り添う形でやらせていただきました。前回から変えようという意識は特にありませんでしたが、そのシーン、そのセリフ、その映像があってこその声優なので、それにあてはめていきました」
とはいえ、ファンがすでに知っている「山寺宏一のジーニー」がまったくないということではない。「ウィル・スミスさんにお会いして話したら、彼もロビン・ウィリアムズさんへのリスペクトを持ちながら、その上で自分の演じるジーニーが出ていればと言っていた。僕は声だけですが、そういう意味でかつてのジーニーがにじみ出てくるのではないでしょうか」
山寺は自らが理想とする吹替えについて「吹替えってどう日本語で伝えるかが大事なので。どの作品もそうですけど、なるべく観た人に『(登場人物が)日本語をしゃべっているみたい。最初からそうやっていたみたい』と思ってもらえるのが一番」と明かす。そのためには役者の表情、声のテンションなどにあわせていくきめ細かい作業が必要だった。
しかし、「あまり気にしすぎるとガチガチになってしまうので」と山寺。「昔のアニメ版で使っていた声をここでちょっと使っちゃおうかなというのはありました。『ウィル・スミスはそう演じていない』とならない程度に、いくつか昔のアニメ版での声を使っています。誰も気づかないか、マニアの方しかわからないかもしれませんが(笑)」と笑う顔はジーニーの声を担当できた喜びに満ちあふれていた。
本作は貧しくも清い心を持つ青年アラジンと王女ジャスミンの身分違いの恋、3つの願いを叶える力を持つ魔人ジーニーが宿る魔法のランプをめぐる冒険を描く究極のエンターテインメント。監督は『シャーロック・ホームズ』シリーズなどのガイ・リッチー監督。(編集部・海江田宗)