“普段と違う園子”が登場するまで!監督&プロデューサーが語る
大ヒット人気シリーズの裏側を明かす公開講座「監督・プロデューサーが語る 映画『名探偵コナン 紺青の拳(こんじょうのフィスト)』ができるまで」が7日にデジタルハリウッド大学の駿河台キャンパスで行われ、永岡智佳監督と諏訪道彦プロデューサーがファンの間で話題となっていた、普段とは違う髪型で登場したシーンがあった園子に関して語った(以下、本作のストーリーについて触れています)。
シンガポールを舞台に、世界最大のブルーサファイア“紺青の拳”をめぐる攻防が描き出される本作では、ヒロイン毛利蘭の友人である園子と、京極真の恋模様が描かれるのも見どころの一つ。普段、カチューシャでおでこを出している園子だが、本作ではとある展開から前髪をおろした姿が登場した。
永岡監督は「前髪の園子はずっと入れたいと話していて。見せたかったシーンだったんです。それで青山(剛昌)先生に聞いてみたところ『かわいいんじゃない』と言っていただいて。先生の許可をいただきました」とその経緯を説明。スクリーンに映し出された絵コンテを見た観客からも「かわいい」という声が飛び出し、永岡監督も「園子はかわいいんです」と満足げな表情。
さらにそのシーンの直後に登場する、京極の絆創膏をめぐる、とあるやりとりの話に。「絵コンテをお見せしたら青山先生からこうした方がいいんじゃないというアドバイスをいただいたんですが、それが本当にキュンとする内容だった。乙女の心を持っていますよね」という永岡監督に対して、諏訪プロデューサーも「先生はなんでこんなに女性の動きまでわかるんでしょうね?」としみじみ。
永岡監督が「すごいなと思うのは、絵コンテのカットを全部直すのではなくて、一か所、ちょっとした仕草を直すだけで、そのキャラらしい動きになるというか。そこは先生が乙女の心を持っているからとしか言えないんです。前髪の園子は原作になくて、映画で初めて出すところなんですが、先生はかわいいからいいんじゃないと受け入れてくださった。あそこは先生が原画もやってくださったから、園子らしさも残っていると思います」と笑顔を見せた。
それを受けて、諏訪プロデューサーは「青山剛昌先生は原作者としてクレジットされていますが、やっていることは製作総指揮以上で。映画のキャラクターに先生の手を入れてもらっているし、こちらから新たなアイデアを出したりとキャッチボールをして。絵作りの表情や、ラブコメ的な要素でも助けられています」と明かした。
この日は影響を受けた作品について2人が質問をされるひと幕も。『ユニコ 魔法の島へ』をあげた永岡監督は、ユニコと西風の精との関係性が、「今回、いつものコナンとキッドとの関係性ではないというところに、少しだけですが、参考にさせてもらったところがあります」と説明。『80日間世界一周』をあげた諏訪プロデューサーは「この作品はお手本ですね。最後にどんでん返しがあるんですけど、コナンの時もシナリオの打ち合わせの時にそういうことを考えたりします。コナンって最後になっても、まだ何かがあるというのは、この映画の感覚に近いですね」と付け加えた。(取材・文:壬生智裕)