『アラジン』作曲家、“いい曲”はどこかに必ずある
ディズニー音楽の巨匠アラン・メンケンが7日から公開されている新作映画『アラジン』のプロモーションで来日中にインタビューに応じ、今回の作品や自身の仕事への向き合い方などを語った。
同作は3つの願いを叶える魔人ジーニーが宿る魔法のランプをめぐる冒険を描いた名作アニメーションを、『シャーロック・ホームズ』シリーズなどのガイ・リッチー監督が実写化した作品。アランは最初、「ガイ・リッチーがミュージカル? 大丈夫?」と不安になったそうだが、完成作については「スリリングだったし美しかったしエキサイティングだし感動的だしとにかく素晴らしかったよ」と手放しで称賛した。
『リトル・マーメイド』『美女と野獣』の中の音楽でも作曲を担当し、これまで8つものオスカーを獲得しているアラン。1992年のアニメーション版から深く関わってきた『アラジン』について「元々は『アラジン』はバディー映画になる予定だったんだけど、それが途中でロマンスものになったんだ」と振り返り、「そしてアラジンには母親がいたんだよ」と続ける。
「でもディズニー映画ではよくあることなんだけど(笑)、お母さんのキャラクターは途中でカットされてしまった。その時までは『プラウド・オブ・ユア・ボーイ(原題) / Proud of your boy』という曲が作品の中の一番のバラード曲としてあったんだけど、お母さんへの曲だったからキャラクターがいなくなったことで必然的に曲もカットされることになったんだ」
大切な曲がカットされることについて残念そうな仕草はしながらも「まぁそれはいつも起こる仕方のないことだからね」と笑い、「僕は自分の作品に惚れ込まないことを心がけているんだ。他の人には曲を好きになってほしいけど、僕だけは曲に惚れ込まない。それを自分にいつも言い聞かせているんだよ」と話した。
また、これまで数えきれないほどの名曲を生み出してきたアランに向けられた「今までに壁にぶつかったことはなかったのか?」という質問への答えから、世界的作曲家の仕事への向き合い方が垣間見えた。
「仕事の依頼の内容が悪い時は壁にぶつかってしまうことはあります。でもそうでなければ、仕事は答えが必ずどこかにある『パズル』に過ぎないんだ。『いい曲』というものはどこかに必ずあるはずだから、それを見つけにいくだけなんだよ」
そんなアランの『アラジン』の中の一番のお気に入りのキャラクターはサルのアブーだった。(編集部・海江田宗)