制作期間が短すぎて…『スター・ウォーズ』新作は撮影現場で編集
12月20日に日米同時公開を控えるシリーズ完結編『スター・ウォーズ/ザ・ライズ・オブ・スカイウォーカー(原題)』は、短い制作期間に対応すべく、撮影現場で編集作業が行われたことが明らかになった。編集のメリアン・ブランドンが米 Carsey-Wolf Center で行われたトークイベントで語った。
【動画】『スター・ウォーズ/ザ・ライズ・オブ・スカイウォーカー(原題)』予告編
『スター・ウォーズ』(1977)から始まる「スカイウォーカー・サーガ」の完結編となる本作。監督にはもともと『ジュラシック・ワールド』のコリン・トレヴォロウが決まっていたが、ルーカスフィルムとの「創作上の意見の違い」を理由に撮影前に降板となり、急きょ『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』を成功させたJ・J・エイブラムス監督が再び指揮を執ることになった。
そうした経緯があって『ザ・ライズ・オブ・スカイウォーカー(原題)』は撮影に入るのが遅くなり、撮影終了から公開までの期間が『フォースの覚醒』と比べて4か月ほど短くなってしまったという。エイブラムス監督とのタッグで知られ、『フォースの覚醒』でも編集を担当したブランドンは「超大作なのに制作期間がとても短いから、撮影現場で同時進行で編集させてほしいとJ・Jを説得したの。彼は『ダメ。そんなことやったことないから』という感じだったけど、『とりあえずやってみましょうよ』って」と振り返る。
最初は躊躇していたエイブラムス監督だがすぐにこのやり方にハマったそうで、「『常に僕の3メートル以内にいないといけないよ』と言われたから、カメラが3メートル移動したらわたしも3メートル移動して……という感じだった(笑)。外でも、水槽でも、どこにでもついて行った」とブランドン。「ヘッドホンをして編集作業をしていたら、わたしのアシスタントがやって来て『後ろを見て!』と言うから振り返ったら、カイロ・レン(アダム・ドライヴァー)がフルマスクにマント姿で作業をのぞき込んでいて(笑)。『僕が見ていたら気になる?』と言われたりしたわ」と楽しげに明かした。
最初はスケジュールの都合で始めた撮影&編集の同時進行だが、実際にやってみるとこのやり方は映画制作においてとても有益だったという。「わたしは彼らが撮影しているものを見て、前日に撮影されたものを編集していたの。撮影監督にすぐ質問することができたし、編集してみて必要なショットが出てくれば、すぐにそれを撮ることができた。キャストと知り合えたのも素晴らしくて、それは彼らがやっていることを理解するのにとてもいい方法だった」と通常よりも編集作業はスムーズに進んだと自信をのぞかせた。
ちなみに、『ハイ・ライズ』や『フリー・ファイヤー』のベン・ウィートリーなど、“編集は撮影現場で”というスタイルを採用している監督もいる。『ハイ・ライズ』でウィートリー監督と初タッグを組んだトム・ヒドルストンは「1日の最後に、その日撮って編集したものを見せてくれたからやりやすかった」と第40回トロント国際映画祭でその利点を語っていた。(編集部・市川遥)