『ロミオとジュリエット』フランコ・ゼフィレッリ監督が死去
映画『ロミオとジュリエット』『チャンプ』『エンドレス・ラブ』などを手掛けたイタリアの巨匠フランコ・ゼフィレッリ監督が、6月15日(現地時間)にローマの自宅で亡くなった。96歳だった。ゼフィレッリさんは長らく病を患っていたが、息子のピッポさんが The Hollywood Reporter に語ったところによると、最期は苦しむことなく亡くなったそうだ。
ゼフィレッリさんは、1923年にイタリアのフィレンツェで、仕立て屋の息子として生まれた。フィレンツェに住む英国人の婦人たちとの交流で、英語が堪能となり、第2次世界大戦中には英国軍の通訳を務めたこともあった。
1945年から、フィレンツェのペルゴラ劇場でセット・デザイナーとして働き、そこで舞台監督をしていたルキノ・ヴィスコンティさんと出会い、彼に師事することになる。1950年代~1960年代にかけては、ウィリアム・シェイクスピア作品からテネシー・ウィリアムズ作品まで、セットデザイン、衣装、舞台監督など、さまざまな舞台の仕事に携わった。
そしてヴィスコンティさんが映画にも進出すると、ゼフィレッリさんもまた助監督として映画にも関わるようになった。1968年に古典劇をベースにした『ロミオとジュリエット』でオリヴィア・ハッセー、レナード・ホワイティングらのティーンエイジャーの役者を主演に据えて、シェイクスピアの作品としては、記録的な成功を収めた。
その後も、リッキー・シュローダーをゴールデン・グローブ賞新人男優賞に導いた『チャンプ』、ダイアナ・ロス、ライオネル・リッチーによる同名主題歌がアカデミー賞歌曲賞にノミネートされた『エンドレス・ラブ』、自身の半自伝的な作品となった『ムッソリーニとお茶を』、伝説のオペラ歌手マリア・カラスさんを描いた『永遠のマリア・カラス』などの作品を手掛けた。
またゼフィレッリさんは、オペラの演出家としても長年活躍し、ウィーン国立歌劇場、ミラノ・スカラ座、ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場など、世界中の歌劇場でオペラを演出した。(細木信宏/Nobuhiro Hosoki)